書評:ショーペンハウアー「幸福について」群れたがりは精神が貧弱?

5.0
ショーペンハウアー「幸福について」

「幸福に過ごす方法ってなんだろう」

「幸せを求めれば求めるほど不幸になる気がする…なんでだろう」

だれもが幸福に過ごしたいと願っているのは当然です。

しかし、幸せを求めれば求めるほど不幸になっていくのは人間の性質と言っても良いでしょう。

  • お金を求めれば求めるほど、お金がない現状を不幸に感じる
  • 友達をたくさん求めようと思えば、あまり自分が好かれていない現状に不幸を感じる

では、どうすれば幸福になれるかというと「不幸にならないようにすれば良い」のです。

今回は、19世紀の有名な哲学者であるショーペンハウアーの「幸福について」をご紹介いたします。

「幸福について」あらすじ

「人は幸福になるために生きている」という考えは人間生来の迷妄であると断じる幸福論。自分を他人と比較し、他人の評価をたえず気にすることが不幸の元凶であり、名誉、地位、財産、他人の評価に惑わされず、自分自身が本来そなえているものを育むことが幸せへの第一の鍵であると説く。

引用:Amazon

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幸福とは「不幸な人生を送らない」こと

本書の中では幸福について様々な観点から書かれていますが、大原則として「不幸にならないまずまずの人生が幸福である」と知ることが重要だと書かれています。

人間は不幸なことがあると、そこにばかり気を取られてしまい、自分が普段からいかに恵まれているか感じることができません。

例えば、風邪を引いてしまうと、風邪のことばかり気になってしまいます。体調を崩してしまうと幸福を感じることができなくなってしまうのです。

本書では、アリストテレスの「ニコマコス倫理学」から下記の言葉を引用しております。

賢者は快楽を求めず、苦痛なきを求める

引用:アリストテレス「ニコマコス倫理学」

快楽・享楽・気楽さなどの幸福を求めるのではなく苦痛がない人生こそが幸福になる最大の理由は、ギャップが生まれないからです。

幸福を求めれば求めるほどギャップが生まれて不幸になる

幸福に注目すればするほど、どうにもならない気分になり不幸になってしまう

それは、求めている幸福に現実がついていけてないからです。

冒頭でも説明したとおり、幸福を求めれば求めるほど下記の通り不幸になります。

  • お金を求めれば求めるほど、お金がない現状を不幸に感じる
  • 友達をたくさん求めようと思えば、あまり自分が好かれていない現状に不幸を感じる

なぜ、幸福を求めたら不幸になってしまうのか?それは、私達の大部分が幸福だと認識するものが外部依存型の幸福がほとんどだからです。

幸福を感じる2つのパート「内面的」と「外面的」

そもそも人間が幸福を感じるには大きく分けて2つの分類がある

  1. 内面の豊かさ
  2. 外面の豊かさ

それぞれ解説します。

内面の豊かさとは「自分が何者」なのか

内面の豊かさとは「自分が何者」なのかということです。

自分が何者なのかと言うのは主に下記の項目のことを指します。

  • 美容
  • 健康
  • 知識

つまり、内面の豊かさとは、自分の力で作り上げられるものを指します

外面の豊かさとは「所有・イメージ」

一方、外面の豊かさとは「何を持っているか・いかなるイメージを与えているか」ということ

  • 地位
  • お金
  • 名声
  • 名誉

など、他人が関係してして作り上げられるものを指します

外面の豊かさを考慮しすぎると不幸になる

幸福には上記のような2分類がありますが、残念ながら、人間は外面の豊かさを考慮に入れすぎています。はっきり言って外面の豊かさを考慮しすぎると不幸になってしまうのです。

なぜなら、外面に豊かさに依存した幸福は不安定だからです。

外面に豊かさに依存した幸福というのは、自分だけで完結するものではないので、実現可能性が未知数です。

  • お金なんて稼げるかわからない
  • イメージなんてどう持たれるかわからない
  • 友達や恋人と一緒にいたくても、いつまでも一緒にいるかわからない
  • SNSのLikeの数はたくさんつくかわからない

ほぼすべての人間が不幸である理由はこれが原因です。つまり、外部の豊かさに依存した幸福というのは実現されるのが未知数のため、外部の豊かさを求めれば求めるほど不幸になるというわけです。

外面の豊かさを求めてしまう理由「精神が貧弱だから」

では、なぜ人間は外部の豊かさを求めてしまうのでしょうか?それは精神が貧弱だからです。

幸福についてでも下記のように記載があります。

全体としてみれば、精神が貧弱で、総じて卑俗であればあるほど、群れたがることがわかる

引用:幸福について

後述しますが、内面を豊かにする行動とは、はっきり言って孤独な行動が多いです。そのため精神が貧弱な人は孤独に耐えることができないため、内面を豊かにする行動が取れないのでしょう。

その結果、精神が貧弱な人は、外面の豊かさを求めるようになります。

最近、「どういう時に幸せを感じるか?」と問われた女子高生が、「SNSでのバズった時」って言っていたのを聞きました。これこそ、今どきの外面の豊かさ「自分が周りから認められている」を求めているのだと思います。

もちろん少しでも外面の豊かさを求めるのは精神的に貧弱だと言っているわけではありません。

外面の豊かさを求めるのも幸福には必要だと思いますが、重要なことは内面の豊かさと外面の豊かさのバランスが重要だと言うことなのです。

内面の豊かさを重視するには「時を活用する」

外面の豊かさに注目すればするほど、人間は不幸になります。

そのため、内面の豊かさを重視した方が良いわけですが、内面の豊かさを重視する方法は、時をうまく活用する方法です。

本書でも下記のように述べられています。

凡人はただ時を「過ごす」ことだけを考え、なんらかの才能のある人は、時を「活用する」ことを考える。

引用:幸福について

本書で書かれている内面を豊かにする行動を列挙してみると下記のとおりです。

  • 自分自身をよく知ること
  • 能力に磨きをかける
  • 健康維持に勤める
  • 独立と余暇を持つ
  • ふさわしい興味深いテーマに没頭する

特に健康維持について、本書では、幸福の90%は健康を基盤としていると書かれています。

そもそも私たちの幸福の九〇パーセントは、もっぱら健康を基盤としている。健康であれば、すべてが楽しみの源泉となる。

引用:幸福について

ショーペンハウアー「幸福について」まとめ

ショーペンハウアーの「幸福について」をまとめると下記のとおりです。

  • 幸福になるには「不幸ではない生き方をすること」
  • 外面の豊かさより内面の豊かさを重視する
  • 内面の豊かさは「時間の活用の仕方」がカギ

以上、群れたがりは精神が貧弱?ショーペンハウアー「幸福について」を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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