「日本って借金で破綻するんじゃないの?」
「1000兆円超えたら破綻するでしょ?」
2014年に日本が借金1000兆円を超えてから4年ほどたっていますが、破綻する予兆はありません。
財務省は9日、国債や借入金などを合わせた国の借金が今年6月末時点で1008兆6281億円になったと発表した。1000兆円を突破したのは初めて。債務残高の対国内総生産(GDP)比率は先進国中最も高い水準で、2014年には230%に達するとみられている。国債残高は830兆円に達した。
by CNN
日本の借金がいくら積み上がろうが日本が破綻することはないとでしょう。
それは、日本が破綻しそうになったら下記のことを行えば良いからです。
- 経済政策で政府自体の負担を下げる
- 日銀の経済政策(ゼロ金利政策など)で政府の負担を軽くする
- 日本銀行が国債を買い取る
- いざとなれば政府関連会社の資産を売る(民営化)
実際、何かしら海外でリスクがあっても買われるのは日本円です。
海外の機関投資家から見て日本はそれだけ安定している国なのです。
最近では「借金1000兆円自体が嘘」とする意見も見受けられます。というのも資産と借金額が同じくらいだから、純粋な負債はないとする考え方です。
しかし、その理由を調べてみると、実現不可能な理論であり、「逆に借金1000兆円自体が嘘」という理論自体が嘘であることもわかります。
今回は、借金1000兆円について、理論の嘘と、日本の借金が積み上がっても破綻しない理由を解説します。
目次
「国の借金1000兆円は噓!」だという話は見方次第ではトンデモ論
まずは日本の現状について確認しましょう。よく語られる日本の現状は下記のとおりです。
- 国の借金が1000兆円ある
- 国民1人あたりの借金は800万円以上
国民1人あたり792万円の借金をしている計算になります。
つまり、赤ちゃんがおぎゃーと生まれた瞬間792万円の借金をしている訳です。
生後間もない赤ちゃんも792万円の借金を抱えている…。
このような「借金1000兆円って日本経済はヤバイよね」という意見に対して、「借金1000兆円は噓」だとする論調もあります。特徴は下記の通りです。
この資産1000兆円を考慮すれば、政府の純粋な国債はないものと同じ。だから借金なんかないとする意見です。
しかし、借金1000兆円が噓とする意見が実現性のない噓であることも下記で説明ができます。
- 政府と日銀は独立しているので、国債の引受ができる。統合したら経済が崩壊する。
- 政府関連会社が民営化は実現するのか?
政府と日銀を同じものと考えるのは、自分が自分に借金するのと同じです。
国債の引き受けの流れは、政府→銀行・生命保険→日銀という流れです。これが政府→銀行・生命保険→政府となったら、政府が借金をする意味がよくわからなくなります。
借金は、借りる人と貸す人が違うことで、初めて行えるのです。
日銀と政府を同じにみなした瞬間に、普通に考えれば二度と国債発行による借金ができなくなり、経済は崩壊する。
政府関連会社の民営化も実現するのであれば、政府は莫大な売却益を受け取り借金をチャラにできるかもできません。
しかし、「誰が買うのか?」「民営化後のサービスの質はどうなのか?」等を考えたら安易に民営化なんてできないことは明らかです。
借金1000兆円に毎年の返済額は30兆円「それでも増える借金」
日本の借金は1000兆円ですが、借金を返済する日本の会計はどうなっているのでしょうか?
要約すると下記の3点です。
- 日本の支出は約100兆円で借金返済が23兆円
- 日本の収入100兆円で新しい借金が33兆円
- つまり約10兆円ほどの借金が毎年増えている
日本の支出を確認しよう!
出典:財務省ウェブサイト
平成30年の一般会計予算の歳出を見てみると下記のことが分かります。
- 社会保障:33兆円
- 地方交付税交付金:15兆円
- 国債費:23兆円
日本の収入を確認しよう!
出典:財務省ウェブサイト
平成30年の一般会計予算の歳入(収入)を見てみると下記のことが分かります。
- 税金での収入:59兆円
- 公債金:33兆円
政府の税収が約60兆円なので、借金を返済した場合
60兆円(税収)-23兆円(借金返済)=37兆円(残り)
残り37兆円で過ごさないと赤字になります。
しかし、現状の財務状況を確認すると社会保障制度だけd30兆円近く使われているので、37兆円で過ごすことはまず不可能です。
足りないお金はどうするのでしょうか?足りないお金が発生した時に日本は年間33兆円も借金を続けているのです。
日本の会計を家計に例えると?
日本の財政は下記のような感じですが…
出典:財務省ウェブサイト
この日本の財政を家計に例えると下記のような感じです。
出典:財務省ウェブサイト
毎月17万円の新しい借金を作っている状況と考えると恐ろしいですね…
借金1000兆円は噓だと信じてしまう理由とは?「国民に影響がわからないから」
借金が1000兆円でも日本が潰れないと断言できる理由はなんでしょうか?
- 政府自体の負担が経済政策のおかげで軽くなっている(その代わり経済は崩壊寸前)
- 政府がいくら借金しても最終的に日本銀行が買い取ってくれる(対外債務が少ない)
- いくら借金が増えても政府支出を削らないから(その代わりいずれ破綻する)
経済政策で政府自体の負担を下げる
経済政策と聞くとむずかしいと思いますが、簡単に言えば政府が工夫して支出を下げることです。
現在行われている主な経済政策は下記のとおりです。
- 働き方改革:所得税を増やす・社会保障費を減らす
- 年金改革:年金受給年齢引き上げ・年金支給額を減らす
- 社会保障改革:医療保険による社会保障負担を減らす
- アベノミクス:株式市場の回復→生保・年金の含み損を回復
このように政府が手動で経済政策を行えば、政府自体の負担を下げられます。
今までのような年金や医療保険の制度が維持することで日本が破綻するなら、間違いなく負担を減らすために改革を行うでしょう。
日本銀行が国債を買い取る
政府が発行した国債を中央銀行が買い取るという図式を作ってしまえば、民間が国債を買わないと言っても、中央銀行が国債を買えるので、政府の破綻を防げます。
ただ、政府が発行した国債は中央銀行が買い取ることが禁止されています。
そのため、政府が発行した国債を銀行や生命保険会社などの金融機関が買い取り、それを日本銀行が買い取るような形をつくることができれば、良いのです。
日本が破綻しない最大の特徴は対外債務の少なさです。
対外債務とは、日本以外の国に返済しなければいけない借金のことです。
日本は27年連続トップの対外債権国と言われています。対外債権国は日本以外の国にたくさんのお金を貸している側です。
日本の対外債務はかなり低いです。つまり、日本の国債は大体日本国内(1000兆円の半分は日銀が購入)で消費されているので、民間の金融機関や日本銀行が持っています。
そのため日本の国債の金利をいくら下げても、急激に売り払われることはまずありません。
だから、日本銀行も安全に金利を下げられます。
日本銀行が決めている金利を0%の金利にすれば政府の借金の利息の負担も減らせますよね?
低い金利にするメリットはゼロ金利政策を行っていることを見ても分かると思います。
いくら借金が増えても政府が支出を削らないから気づかない
借金が1000兆円あるにも関わらず、日本では「資産1000兆円あるから破綻しない」というような理論的は正しそうに見えても、実現性がない嘘のような話がまかり通ってしまうのは、一体何故なのでしょうか?
それは、いくら借金が増えても政府支出が削られないからです。
政府支出が削られると、高齢者現状で受けているサービスは軒並み受けられなくなるでしょう。つまり、福祉国家、年金大国の日本が崩壊するというわけです。
このような崩壊を経験することで、初めて国民は借金1000兆円の影響を真剣に考えるでしょう。
しかしながら、いくら借金が増えたとして政府が支出を下げないため、国民は借金の影響に気づかず「破綻しないっていうのも本当かも」と思うようになっているだけなのです。
借金1000兆円は嘘という話のまとめ
借金が1000兆円を超えても日本が破綻しないのは下記の理由です。
- 経済政策で政府自体の負担を下げる
- 日本銀行が国債を買い取る
決して、日本政府の資産が連結して1000兆円あるから崩壊していないのではないのです。
国債などの公債の純債務は1990年の13%から現在では134%に膨らんでいます。10倍に膨れ上がるのは異常な状態でしょう。
日本は破綻しませんが、経済政策を行うことで国民の生活は変化するでしょう。
国民の生活の変化は下記のようになることが予想されます。
- 年金額は今までより減る
- 保険負担率は増える
- 払わなければいけない税金は上がる
- 給料はそこまで上がらない
国は破綻しないけれど、国民の生活が変わることは念頭に置いて行動したいものですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
>>【取り残されるかもよ?】
働き方が変化している時代に変化を受け入れなければ気づいたら周りから取り残されているかもしれません…。
じつは、会社で隣の人も水面下では、なにかしら働き方を変えようと動いているのかも…。
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