多くの方が読まれているであろう著書「イノベーションのジレンマ」
しかし、その有名著書に未解決な問題があるとすれば、知ってみたくないですか?
本書「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明とは、イノベーションのジレンマによって明らかになった内容の不足部分を最新のデータ分析を基にして、更に深掘りした著書になります。
面白いので、是非とも読んでみて下さい!
「「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明」あらすじ
「なぜ優良企業は新世代の技術競争に敗れ去るのか?」大御所経営学者のクリステンセン教授が『イノベーターのジレンマ』で答えたストーリーには未解決の問題があった。長年解明されてこなかったイノベーションの謎に、若き経済学者が最先端のデータ分析で挑む。
●一時代を築いた「勝ち組」は、なぜ新世代の競争に出遅れがちなのか?
●この「イノベーターのジレンマ」に打ち勝つには、何をすべきなのか?
内外の企業が直面するこれらの切実な「問い」に、気鋭の経済学者・伊神満イェール大学准教授は、サバイバルの条件は創造的「自己」破壊にあり、と答える。「共喰い」「抜け駆け」「能力格差」をキーワードに、ゲーム理論、データ分析などを駆使して、 「イノベーターのジレンマ」をクリアに解明する。引用:Amazon
目次
「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明がおすすめな人
- イノベーションのジレンマを読んだことがある方
- データ分析が好きな方
- イノベーターのジレンマについてより詳しく知りたい方
そもそもイノベーターのジレンマって何?
イノーベーションのジレンマという本があります。
大御所教授であるクレイトン・クリステンセン教授が書いた本書では、大企業が新しい企業のテクノロジーに対応できないジレンマについて説明されていました。
例えば、ショベルカーは今は油圧式ですが、昔はケーブル式だったそうです。
昔はケーブル式のショベルカーしかなかったため、お客さんはケーブル式のショベルカーの規模が大きくなることを求めていました。
しかし、ある日、ある中小企業が油圧式ショベルカーが誕生しました
油圧式のショベルカーは、最初は「能力なども低く使えない」と思われていたのに、油圧式ショベルカーであればより小型でより軽量なショベルカーをを作成できることがわかりました。
油圧式は小規模・中規模のショベルカーにおいては性能が良くて、寿命も長いことに色々な人が気付き始めたのです。
こうして、ショベルカー小規模・中規模のショベルカーはケーブル式から油圧式に変わっていったと言われています。
このように、イノベーションのジレンマとは「大企業の方が有利なのにも関わらず、イノベーションを起こすことができずに、中小企業でイノベーションを起こした起業にシェアを奪われてしまうこと」なのです。
イノベーターののジレンマはなぜ起こるのでしょうか?
それではイノベーションのジレンマはなぜ起こるのでしょうか?
クレイトン・クリステンセン教授はこのように言っています。
「大口顧客のニーズに合わせて技術開発をしていく。つまり、新しい技術ができても相手にしないから」と。
大口顧客は既存の市場を持っています。
そのため、既存の市場を壊してしまう可能性のある全く新しい技術を開発することは求めていないのです。
クレイトン・クリステンセン教授のこの研究は大胆かつ素晴らしいものでした。まさに斬新そのものです。
しかし、この研究にも問題点があります。
それは、「因果関係が明確ではない」ことです。
クレイトン・クリステンセン教授は事例を調べ、関係者にインタビューを行い、研究をしていきました。
調べてみたらイノベーションのジレンマは1997年に初めて提唱された概念であり、当時の調査方法にはデータ分析などの最先端の分析をすることは難しかったのでしょう…。
つまり、定性的な内容だったから原因と結果が不明確だった。
これがイノベーションのジレンマの問題点だと言えます。
「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明はどのように解明するの?
それでは、「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明とはどのように解明するのでしょうか?
それは、「当時は出来なかった最新のデータ分析を行う」こと。
つまり、理論を作り、データに基づいて分析してことを本書ではやっているので。
日経新聞での紹介記事では下記のように述べられていました。
データ織り込み済みの経済学モデルを作りその箱庭の中で色々なシナリオを検証する
イノベーターのジレンマの3つの要素とは?
本書では、イノベーションのジレンマの3つの要素について論理的に分析しています。
先に、イノベーションのジレンマの3つの要素についてお話します。
共食い「既存の製品が新しい製品に置き換わること」
既存の自社の製品が新しい製品に置き換わることを共食いと呼びます。
共食いをすることにより、元々あった売上が下がってしまう可能性があるので、メーカーにメリットがない戦略が多いのです。
つまり、共食いを恐れない状態にならないとイノベーションは起こらない。
そういえば、「不格好経営」の中でも、売上を上げていたアバター戦略に固執しないで勝ちパターンを破壊することが必要だとも言われていました。少し似てますね。
参考人を成長させる方法と強いチームの作り方「不格好経営」要約まとめ
後は、AmazonがKindleを作ったのも似てますね。
Kindleは本の売上を奪っていくものですが、自らが電子書籍の市場を作ることは共食いを恐れていない証拠です。
抜け駆け「新技術の買収をする」
新しいライバルに参入を許してしまう市場が奪われてしまいます。
「書評「生産性」生産性を向上させる劇的なメソッドとは?」でも紹介されていますが、イノベーションとインプルーブメントの違いは、抜本的であるか否かです。
抜本的にイノベーションすることは、既存の技術ではない技術が必要になります。
そのため、大企業はその市場を守るために新技術に対応しないといけません。
だから、先に新技術を買収にかかります。これを「抜け駆け」と呼びます
こういった、「共食い」と「抜け駆け」でイノベーションのジレンマが起こりやすくなっているのです。
能力格差「大企業と新興企業の能力の差」
大企業の方が技術力が高いのか?それとも新興企業のほうが技術力が高いの?
技術力のバランスにより、共食いと抜け駆けのパワーバランスが大きく異なります。
ちなみに、技術力については「書評「世界最高のバイオテク企業」アムジェンの新薬開発し続ける秘密」によると、人数ではなく人の質が大切だそうです。また、風通しの良い文化を形成することができなければ、いくら技術力があっても、難しいと言われています。
文化については「書評「How Google Works」まとめ:技術よりも文化を重視する」でも解説があるとおり、部下を信頼して、部下の思う通りにやらせることが大切だとしています。
イノベーターのジレンマを解明してわかった「能力ではなく意欲が足らない既存企業」
こういった3つの要素をモデル分析しながら、「正論を実践することの難しさ」についても触れております。
実際はどうなのかというイノベーションのジレンマの理論をデータ分析をもってして、深掘りを行っている本と言えるでしょう。
結論は「既存企業に足りないのは「能力」ではなく「意欲」」であるということです。
つまり、共食いによる売上減を恐れて、先手必勝での買収やイノベーションを起こすことができないのが、イノベーションのジレンマなのです。
正論で言えば、先手必勝を行えば企業は利益を確保できます。
問題はありません。しかしながら、実践できないのです…。
ここが正論を実践することが難しいという理由になります。
「書評「日本3.0 | 2020年の人生戦略」リーダーに孤独と無私が必要な理由?」の中でも紹介していますが、Amazonの創業者ジェフ・ベゾスは、イノベーションには意欲が大切だと述べていました。
「もしあなたが何か面白いことをしようとするなら、きっと批判を浴びるだろう。しかし、そんな批判に耐えられないなら、何か新しいことや面白いことはしないでほしい」
特に本書では、その過程を解明するのことをとてもおもしろく書かれています。超オススメです。
イノベーションのジレンマを解決する為には?
まとめると、イノベーションのジレンマ下記のことが原因で起こります。
- 共食い「既存の製品が新しい製品に置き換わること」
- 抜け駆け「新技術の買収をする」
- 能力格差「大企業と新興企業の能力の差」
つぎに本書で明らかになったイノベーションのジレンマを解決するために必要なことは下記になります。
- 主力部門を切り捨てる勇気
- 新規事業を見つけて育てる意欲
また、本書中では「いかにしてイノベーションのジレンマを解決するのか?」についての話はありますが、科学技術学術研究所のインタビューの中では「イノベーションのジレンマを解決する必要がない」ともおっしゃっておりました。
それは、解決しないことで起こるメリットもあるからです。
是非とも本書を読んでみてイノベーションのジレンマについての理解を深めてみて下さい!面白いです!
イノベーションのジレンマはこちらです!