「データに基づいた分析が大切」
「哲学的な思考は役に立たない?」
今回は読書会で紹介されたエマニュエル・トッドの思考地図についてご紹介します!
時代の趨勢を見極め、その先を見通す知性をいかにして獲得するか。現代を代表する論客が、自身の思考の極意を世界で初めて語りつくす。完全日本語オリジナル。
引用:Amazon
エマニュエル・トッド:フランスの人口学者の本、リーマンショック・ソ連の崩壊を予言した
思考地図はエマニュエル・トッドの思考法が書かれた本です。そもそもエマニュエル・トッドという人はどのような人なのでしょうか?
1951年フランス生まれ。歴史人口学者。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。家族制度や識字率、出生率などに もとづき、現代政治や国際社会を独自の視点から分析、ソ連崩壊やリーマン・ショック、イギリスのEU離脱などを予見したことで広く知られる。
引用:Amazon
エマニュエル・トッドの思考法はデータ分析に基づいています。いろいろなデータを分析することにより、多くのことを予想してきた人でもあります。
1970年代に10年から30年以内でソビエト連崩壊を発表したのは弱冠25歳の時であり、世界から注目を浴びます。ロシア人女性の識字率上昇と出生率の減少から近代化していることを根拠としました。ちなみに、ソビエト連邦は1991年に崩壊しています。
またイスラム教圏の識字率が上がり、出生率が下がっていることから西欧化し、近代化していると主張している。
エマニュエル・トッドの最近の著書は下記の通り
「思考地図」は入力→分析→出力
思考地図ではエマニュエル・トッドの思考法を具体的に解説しています
思考法は下記の手順で行われる
- 経験主義 (データ収集、現実への服従)
- 対比 (個人的経験、歴史との比較)
- 芸術 (予測)
上記の思考法を行うには、「入力→分析→出力」の順番をとると良い
入力→分析→出力の内容
- 入力:仕事の9割は読書する。古典・歴史学・統計データの本を読む。
- 分析:貯めた知識をつなぐ。ソ連の崩壊は目の前の経済状況だけではなく乳児死亡率などを見て、経済が安定しない人を見ていた
- 出力:人と話すことと書くことが大切。自分の考えを予測してアウトプットすること
エマニュエル・トッドは経験主義的な思考です。経験主義的な思考にはデータが必要なため、収集するために徹底的な読書を行います。事実に基づいた思考法の根幹となる部分です。
分析をするときに必要なのは対比です。個人的な経験や、過去の歴史との対比することにより、現代で起こっていることとどのような違いがあるのか、同じ点があるのかを明確にしていきます。対比をすればするほど、後述する芸術につながっていくのです。
出力するときに必要なことが芸術です。芸術は自分が集めた材料をもとに、どのようなことが起こるのかを予測していきます。
このように、読書につぐ読書を積み重ねていくことで、結論を形作っていくスタイルがエマニュエル・トッドの思考法なのです。
哲学思考を批判
経験主義的な思考法を取り入れるエマニュエル・トッドは哲学的な思考に批判的な考えがあります。なぜなら、哲学は思考の中で深堀りし思考を重ねていく思考法なので、データを基に分析しているわけではなく、社会に対しての答えにはならないからです。そのため、社会に対しての影響が少ないのが哲学的な思考なのです。
経験主義的な思考は、データを基にした思考です。社会に対して直接的な答えになることも多く、影響が大きいのです。
では、哲学は悪なのか?と言われるとそういうことでもないです。
なぜなら哲学は人の悩みを解決します。哲学が与えてくれるのは、生き方に対する解釈を与えてくれるため、人間が迷ったときには哲学的思考を持って気づいていく必要があるでしょう。
コロナについての内容
「思考地図」ではコロナについての内容も記載されています。
コロナをエイズの拡大と対比した結果、エマニュエル・トッド自身は大きな社会構造は変わらないと結論づけています。
日本でいうと女性の活躍や直系家族的なものをベースとした高齢者の方にお金を渡すという思想が非常に大き買ったですが、コロナによって労働ができなくなることにより、税収などが落ち込み、生活が困窮している人が増えたところを見ると、若者が大切だという考えになったはずでした。
しかし、日本においては、高齢者を助ける思想のまま変わらず、このまま大きな社会構造は変わらないだろうと言われているのです。
思考地図の内容まとめ
思考地図の内容をまとめると下記のとおりです。
- データ分析を基にした思考法
- 入力→分析→出力の順番で思考する
- 哲学的な思考よりも経験主義的思考の方が社会への影響は大きい
エマニュエル・トッドの思考法は非常に役立ちます。
皆様もぜひ活用してみてください。
以上、哲学は無意味!?エマニュエル・トッド「思考地図」を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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