「なんとなくこっちのほうが当たっていると思うだよね…」
「論理的には間違っていると思うだけど…」
じっくり考えた選択ほど間違っているケースって割とありますよね。
人はなにかモノゴトを決める時に論理立てて選択する傾向があります。
しかしそこには直感を軽視するという大きな落とし穴があったんです。
今回紹介する「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」では、直感の方が正しいという理由を心理学研究の成果や社会的事件などを例にとり説明しています。
「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」あらすじ
人間には理屈を超えた“何か”がある。心理学で注目を集める「適応性無意識」とは?全米連続50週ベストセラー、世界34ヵ国で翻訳。
引用:Amazon
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しいでは直感の方が正しい?
さて、ここで一つ質問です。あなたは、論理と直感どちらの方が正しいと思いますか?
論理の方が正しいと思う人もいると思いますが、直感のほうが正しいのです。
著者が第一感を書くキッカケになったのはアフロヘアーからの職質
著者のマルコム・グラッドウェルは科学ライターとして有名で数多くの本を執筆しています。
本書を書くキッカケになったのは、マルコム・グラッドウェルが髪型が天パでアフロになるくらい伸びたことで、職務質問やセキュリティーチェックが増えたことです。
科学ライターらしく「なぜだろう?」と考えて、直感について考え始めたのです。
離婚する夫婦も直感でわかる
第一感では冒頭で二人の夫婦の話を出します。1組3分のビデオを10本見て、15年後の未来を予測する実験です。確率は素人は50%ですが、プロになると直感で95%は当たるそうです。
- 著者の場合:50%の確率(まぐれ当たり含む)
- 結婚カウンセラー・臨床診療士・宗教家などの心理や結婚の専門家:53%
- ジョン・ゴッドマン博士:5分間見極めるだけで91%の確率で離婚するカップルかどうか予測できる可能
ジョンゴッドマン博士は幸せな結婚生活についての研究家でもあり、離婚するカップルの6つのサインを既に構築しており直感で判断できたのだそうです。
ちなみに離婚するカップル6つのサインは下記の通り。
- 出だしの悪い会話で始まる
-相手への皮肉や非難が混じる内容であること - 会話は四つの危険要因をはらんでいる
-非難、侮辱、自己弁護、逃避の要素をはらんでいること - 会話の中に危険要因の「洪水」がある
-上記の四つの危険要因が、休みなく相手に降りかけられる - ボディー・ランゲージで相手への拒否感・緊張が高まる
-脈拍が上がり、ストレスが高まり、身体的なストレスが高まる - リペア・アテンプト(修復行為)がなされないか、無視される
-1-4のサインが出たときに、緊迫作用を抑えるための努力がなされていないか、されていても片方が無視する - 悪い過去ばかり思い出す
-関係性が悪いカップルは、過去の良い思い出すら、悪い思い出に書き換えられる
引用:結婚生活を成功させる7つの原則~5分の観察で離婚確率が91%わかる!!
直感とは適応的無意識のこと
直感とは、パッと見た時に一気に結論まで到達することを言います。
直感とは、心理学用語で「適応性無意識」といいます。ただ一般的には適応的無意識。
適応的無意識とは人間の行動の大部分の意識では知ることの出来ない部分のことを指します。言い換えるなら潜在意識に近いでしょう。
潜在意識が判断を下しているものが直感なのです
ビル8階の高さからあなたの頭上に冷蔵庫が落っこちてきた時に、多くの選択肢を選ぶことができるでしょうか?出来ませんよね?大抵は直感で考えて行動します。
こういう突発的な危機的状況に対応するため適応性無意識があります。
直感は本質を見誤らない?
直感が必ずしも正しいとは言い切れませんが、大方本質を見誤るということはないそうです。
「心理学者のナリニ・アンバディによれば、学生たちに教師の授業風景を撮影した音声なしのビデオを10秒見せただけで、彼らは教師の力量をあっさり見抜いたという。見せるビデオを5秒に縮めても、評価は同じだった。わずか2秒のビデオでも、学生たちの判断は驚くほど一貫していた」
引用:第一感より
ある実験で、授業風景を動画で10秒間見せられた生徒の大多数は、その風景から教師の力量を言い当てることが出来たと言います。
実際に学期末のテストの成績と照らし合わせると、直感で感じたことと教師の力量は相関関係がありました。
また同じミスをして訴訟を起こされた医者とそうでない医者の声には確かな違いがありました。
- 訴訟を起こされた医者:威圧感のある声
- 訴訟が起こされていない医者:患者を気遣うような感じの声
直感を邪魔するのは偏見と感情
しかしながら直感がいつでも正しくわけではありません。
本書の中でも第一感の危険な側面については下記のように述べています。
しかし無意識の判断のすべてが正しいという保証はない。体内のコンピューターがいつでも正しい判断を下すとは限らないのだ。ときとして、直感的な「第1感」を曇らせる何かが存在する。早く目玉商品が欲しいとか、初恋の相手だとかいう類の事情である。そうだとすれば、第1感を信じていい場合と信じてはいけない場合を区別することは可能なのか。この疑問に答えるのが、本書の第二の目的だ
引用:第一感より
つまり、直感は偏見と感情によって正しい回答を邪魔している可能性が高いです。
- ポジティブな感情を持っていれば好意的な直感を持つ
- ネガティブな感情を持っていれば否定的な直感を持つ
マルコム・グラッドウェルがアフロヘアーになったことで職務質問を受けたことは、アフロヘアは犯罪率が多いという偏見に基づいて処理された結果なのでしょう。
直感と論理が異なる理由とは?
直感と論理の違いは、ぱっと選んだものか、それともじっくりと選んだものかです。
- 直感は「なんとなく」で選んだものです。
- 論理は「じっくりと」選んだものです。
直感も論理も本質が見通せる力があるなら、最終的には同じ結論に辿りつくでしょう。
しかし直感で選んだものと論理で選んだものが異なる結論に至ってしまいます。
本書では大きな原因を2つ解説していました。
論理は科学的データの盲信を産むから破綻する?
直感と論理が異なってしまうのはデータの盲信です。
人間は科学的な実証データを信じやすい傾向があります。数字や、専門用語がでてくると正しいかも知れないと考えて、考えることを辞めてしまうからです。
問題はこのデータが何も証明していないのに、信じているという点です。
例えば、「偏差値が75の人は頭が良い」という事実があります。
では頭が良い彼は数学が得意でしょうか?
これは一概に言えないでしょう。なぜなら、偏差値は平均75であるだけで、数学が得意とかどうかを証明してないからです。
仮にこれが、自分が良く分かっていない専門的な分野であったらどうでしょうか?
例えば、宇宙の話であったりとか、神話の話であったりしたら、詳しい情報を知らないので、データがあれば盲信してしまうでしょう。
人は誰かの実体験や証明に関して盲信する傾向にあるとのことです。
願望が直感を狂わせる
直感は願望があると狂うと言われています。
下記のものに対しての直感が狂ってしまうと言われています。
- 人は大金を払ったもの
- 若い時に体験した状況
- 感動
- 自分が時間を費やしたもの
それが本物であってほしいと願ってしまうそうです。
「願望の原因は直感じゃないの?じゃあ直感って正しくないじゃん。」
その通り、2つ目のものは誤った直感だということですね。
もちろん、直感は間違えることもあるということですね。
つまり、直感を誤った方向に導く何かが存在しているということです。
直感だけを盲信することも決して最良とは言えず、直感を信じて良い場合と良くない場合が存在しますよね。
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しいまとめ
では、判断においては何が必要なのか。
理想的には「正しい直観力を身に付けること」です。
正しい直感力の養い方も書いてあるのでオススメです。
また、直感力と同じような話題はファスト&スローでも紹介されています。
ファスト&スローでは早い思考=直感・遅い思考=論理についての研究が詳しく書かれています。
第一感がおもしろかった人にとってはファスト&スローもおもしろいこと間違いなしでしょう。
コメント