「チームの生産性があがらないな…」
「会社の売上をもっと伸ばしたい…」
チームの生産性がなかなか上がらないと思った時に、あなたなら何をしますか?
会社の部署のリーダーや、何かを始めようとする起業家、サークルの委員長や部活の部長など、誰もが経験する可能性があります。
その時に必要なものが「組織運営力」「リーダーシップ」です。
本書ワーク・ルールズ!(Work Rules!)には、Googleが生産性を高めるために行っている秘訣がたくさん書いてありました。
「ワーク・ルールズ!」あらすじ
君は、最強企業が欲しがる人材なのか?未来の新しい働き方のすべて、ベストチームをつくるアドバイス―世界最高の職場を設計した男、グーグルの人事トップが、採用、育成、評価のすべてを書いた。
引用:Amazon
目次
ワーク・ルールズ!(Work Rules!)がオススメの方って?
ワーク・ルールズ!(Work Rules!)を読んだ方が良い方は下記の通りです
- チームの生産性をあげたい
- シリコンバレー最強の企業が何をしているのか知りたい
- 課長・部長などチームをマネジメントする側についた
- 経営者になっている、もしくは目指している
ワーク・ルールズ著者のラズロ・ボックの経歴もスゴい
グーグル人事担当上級副社長。1972年、共産主義政権下のルーマニア生まれ。マッキンゼーやGEに勤務。2006年にグーグル入社。従業員が6000人から6万人に増えていく過程で、グーグルの人事システムを設計し、進化させてきた責任者。グーグルは世界各国で「最高の職場」として認められ、多数の賞を受賞している。「いったいグーグルはどんな仕組みで動いているのか」という問いに答えるために、本書を執筆。
いや、もう見るだけで優秀ですよね…。6000人から6万人に増えていく過程を見てきた人。
6000人から6万人ってとんでもない人数ですよ…。埼玉スタジアムが6万3000人収容ですからね…。どれだけの人数をマネジメントしているですか…
Googleが実践している生産性をあげる10のコツとは?
ワーク・ルールズでは、Googleが行っているリーダーシップや組織運営に対する取り組み方にはたくさんの事例があります。
その中でもGoogleが実践しているチームの生産性をあげる10のコツについて解説します。
- チームメンバーに仕事の意味をもたせる
- チームのメンバーを信用する
- 自分より優秀な人だけを採用する
- 発展的な対話での心象とパフォーマンスを混同しない
- 優秀なプレイヤーと業績の低いプレイヤーに注目する
- カネを使うべきときは惜しみなく使う
- 報酬は不公平に払う
- ナッジ-きっかけ作りをする
- 高まる期待をマネジメントする
- 楽しもう(そして、最初に戻って繰り返し)
チームメンバーに仕事の意味を持たせていますか?
チームメンバーに仕事の意味を持たせることで生産性がかなり上がります。
Googleでも意味を持たせることを意識して実践しています。
仕事に意味をもたせることは「書評「GIVE & TAKE」テイカーの特徴と見分け方やギバーの成功条件とは?」でも解説されているとおりで、生産性が上がることが既に証明されている方法です。
ある大学の寄付金を集めるコールセンターにて、グループを3つに分類して調査しました。
- グループA:所定の仕事をこなしただけ
- グループB:個人的な利益
- グループC:奨学金の受給者が、いかに生活が改善したかを知らせる
グループAとBは結果に差は出なかったが、グループCは寄付金の額が約150%増えました。
また、奨学金の受給者と実際に会って、5分間の質疑応答をしたグループは、寄付金の額が約400%アップしました。。
筆者であるラズロ・ボックはワーク・ルールズで下記のように書いています
アダム・グラントの研究が示すように、自分の仕事から恩恵を受ける人と少しつながるだけで、生産性が向上し、人々をより幸せにできる。誰もが自分の仕事に目的を求めている
仕事の影響を知ることで生産性が向上します。
もしもあなたがチームのリーダーであれば、チームメンバーに対して仕事の影響を伝えたり、実際に面談する時間を作ったりすると良いでしょう。
チームの人を信用していますか?
チームの人を信用することで「俺は信用されているんだな」という自負からチームメンバーの生産性を上げることができます。
Googleでは、透明性の原則があります。
Googleはソースコードなどをなんでも公開しています。
「え?誰かにソースコード流出されたりしないの?」と思うかもしれませんが、ソースコードの流出よりも性善説を信じているのだそうです。
Googleの精神にあるのは、基本的に性善説で接することです。
つまり、人を信用することなのです。
トップが決断を下した背景についての質問できる雰囲気を作ること。
そして、問題点を洗い出すときには、何を改善すればいいのか周囲に聞いてみることを徹底しています。
さらに権限の一部を手放して権限を与えています。
Googleでは、とにかく人を信頼することを大切にしています。
人を信頼することが生産性をあげる鍵なのです。
Googleが行っている人を信頼する取り組みを自分たちの会社に活かすのなら下記のとおりです。
- 情報を公開する
- トップに質問できる文化を作る
- 意見を聞く
- マイクロマネジメントしない
ただ、Googleと一般の会社の違いから考えると情報公開については考えたほうが良いでしょう。Googleは厳格な採用プロセスを採っているため、信用できる人しか雇われていません。
一般の会社は信用できる人ばかりいるとは限りません。情報の公開は慎重になるべきだと思います。
信用して「この人には裏切られても良い」と言う人にだけ情報公開しましょう。
搾取する人の特徴は下記にまとめています。搾取する人ではないと判断できたら情報を公開しても良いでしょう。
自分より優秀な人だけを採用する
もし、人数が足らないとなったとしたら、あなたはすぐに人員を補給しますか?
Googleは人員を量ではなく質で判断しています。
採用の質で妥協することと組織を腐らせるからです。
間違った採用は会社にとっても個人にとっても有毒です。
本書の中では、10人の新規採用者のうち9人が自分より優秀なら採用は上手くいっていると言います。そのぐらい妥協なく優秀な人を採用しているのです。
平均的な人をトレーニングでスーパースターにすることはほぼ不可能です。そのため最初から採用に時間をかけて優秀な人を選びます。
人材について妥協していないのは、DeNA・アムジェン・ヴァージン・グループもそうでした。
「人を成長させる方法と強いチームの作り方「不格好経営」要約まとめ」で、DeNAでは優秀な人を見つけたら社長自らが口説き落としにいくと書かれていました。
「書評「世界最高のバイオテク企業」アムジェンの新薬開発し続ける秘密」で、製薬業界のイノベーション企業のアムジェンは、優秀な人材が集まる場所にオフィスを構えるなど、優秀な人が集まる工夫をしています。
優秀な人材を採用する方針はヴァージングループの創業者リチャード・ブランソンも同じようなことを言っておりました。
この場合の優秀は、19世紀のアメリカの作家のラルフ・ウォルドー・エマーソンの言葉を引用し、「性格は知力に勝る」といいます。
スキルなら大抵は学んで身に着けられるので、スキルではなく、性格の良い人を採用することを重視しているのです。
一般の会社でも人数に困っている時でも極力優秀でない人は採用しないほうが良いでしょう。
- 一旦採用すると解雇しにくい
- 優秀でない人を教育するコストが余分にかかる
- 優秀でない人をトレーニングするのに時間がかかる
以上のことから、優秀な人を採用するように心がけてなるべく優秀でない人を採用するべきではないでしょう。
徹底して優秀な人が見つかるまで採用はしないこと。これを徹底しています。
発展的な対話での心象とパフォーマンスを混同しない?
「あなたがもっと成功するために、私はどんな手助けができるのか」という心がけをすることが生産性を上げるためには必要だと言っています。
社員の働き方についても把握したつもりにならず、実際に社員に訪ねることが重要だとしているのです。
普通の会社であれば業績評価は上司のマネージャーが行いますが、Googleの業績評価は客観的な指標を持つために複数のマネージャーが合同に行います。
Googleではマネージャーと部下が仕事について発展的な対話をすることが求められています。
発展的な対話によって部下がマネージャーの心象を害すこともあるでしょう。
もしもGoogleの業績評価が客観的な評価ではなく、上司だけの評価であれば、上司への悪い印象は給料直結してしまいます。部下は上司に発言することを恐れることでしょう。
「発展的な対話が業績とは関係がない」と示すためにも、Googleでは、業績評価を複数のマネージャー合同で行います。
部下に発展的な対話をしても給料に響かないことを示すことが重要なのです。
優秀なプレイヤーと業績の低いプレイヤーに注目する
Googleでは上位5%の優秀なプレイヤーと下位5%のプレイヤーに注目します。
上位5%の優秀なプレイヤーからは、優秀なプレイヤーがなぜ優秀なのかを観察し下記のことを行います。
- 仕事のお手本のチェックリストを作る
- 真似をするようにチームに伝える。
下位5%のプレイヤーに注目するのは解雇のためではありません。
Googleは下位5%の人の成績を上げることがチームの生産性を上げる最大のポイントだと知っているからです。
下位5%のプレイヤーは、「間違った役割が与えられているから結果が出てない」とGoogleは考えます。そのため、下位5%のプレイヤーに対して、学習を支援したり、新しい役割を与えたり、する手助けを行います。
それでも下位5%の人から脱出出来ない場合は、別の会社を斡旋するそうです。
下位5%の人にとっても、最低のパフォーマンスを発揮しているよりは、他の会社で優秀なプレイヤーになったほうがずっと良いからと考えています。
Googleは次の場所を探すことをお手伝いするそうです。
組織トップとボトムに着目するという考え方は、「書評「生産性」生産性を向上させる劇的なメソッドとは?」でも語られていました。
カネを使うべきときは惜しみなく使う?
最も人間的な瞬間に手を差し伸べることは、企業が社員ひとりひとりを気にかけていることを強調することに繋がります。
人生で最低のあるいは最高の瞬間に出会っても、自分より大きな組織が後ろにいてくれるとわかっていれば慰められる。
Googleは社員に対しては惜しみなくお金を払う企業です。人を大切にする企業は生産性が上がるのでしょう。
報酬は不公平に払う
ほとんどの仕事のパフォーマンスは、べき分布に従っています。
べき分布とはチームが創出する価値の90%以上は、もっとも優秀な10%の才能がもたらす。
報酬を不公平にするということは、結果に対して公平に支払うということを意味します。
報酬が不公平であることは、結果に対して正当評価をしているということなのです。
ナッジ-きっかけ作りをしていますか?
周囲のナッジを受けて、また周囲にナッジを与えている。
気づく仕組みづくりをして、生産性が高まるチームを作る
ナッジを与えるためにオフィスを整えたり、机の間隔まで気をつけたりと考えているのがGoogleという企業です。
高まる期待をマネジメントする
何かを取り入れる前には、周囲に実験の説明をすること。
もしも実験の説明をせずに導入してしまうと批判ばかりが発生してしまいます。
しかし、導入する必要性だったり、背景であったりをきちんと説明しておくことで、チームメンバーから発生するのは批判ではなく、支持に変わるのです。
楽しもう(そして、最初に戻って繰り返し)
自分たちが働きたいと思う場所を作ることから始めましょう
自分自身が職場を作り、有能な人材を引き寄せる場所を作る手助けをする。
学習と刷新を繰り返し、また試すのです。
ワーク・ルールズを読んで生産性を上げよう
ワーク・ルールズには実際にチームメンバーに活かせる内容が多く書かれています。
おさらいするとチームの生産性を上げる方法は下記のとおりです。
- チームメンバーに仕事の意味をもたせる
- チームの人を信用していますか?
- 自分より優秀な人だけを採用してますか?
- 発展的な対話での心象とパフォーマンスを混同しない?
- 優秀なプレイヤーと業績の低いプレイヤーに注目する
- カネを使うべきときは惜しみなく使う?
- 報酬は不公平に払う
- ナッジ-きっかけ作りをしていますか?
- 高まる期待をマネジメントする
- 楽しもう(そして、最初に戻って繰り返し)
ワーク・ルールズの中では、他にも幸福な働き方やGoogle流の人の育て方など、Googleの採用・育成・評価の戦略が全て書かれています。
これから組織を運営していくリーダーには必読の書でしょう。
今回紹介した本はこちらになります。