書評「世界最高のバイオテク企業」アムジェンの新薬開発し続ける秘密

世界最高のバイオテク企業

アムジェンという企業をご存知でしょうか?

アムジェンは1980年に設立された新興のバイオテク企業です。

新薬の開発で有名な企業であり、製薬業界は買収が盛んなのにも関わらず一度も買収されたことがないです。

更に、全部自社で開発した薬で、画期的な新薬と呼ばれる薬を世に出し続けています。

今では、製薬業界トップ10の企業にまでなっていて、製薬業界では、「ここがお手本」とも言われている会社です。

今回は製薬業界のお手本であるアムジェンについて書かれた本を紹介します。

「世界最高のバイオテク企業」あらすじ

画期的新薬を生み続けるアムジェン流イノベーション経営。最も成功したバイオテク企業の成功原理と経営手法の秘訣を紐解き、成功に大きく貢献した原理や手法の生きた事例にスポットライトを当てる。

引用:Amazon

スポンサーリンク

世界最高のバイオテク企業がおすすめな方

世界最高のバイオテク企業がおすすめな方

  • 現在製薬業界にお勤めの方
  • 画期的なイノベーションを起こすことに興味がある方
  • 短期的に製薬業界トップ10まで上り詰めた経営手法に興味がある方

新薬の開発の難しさ

まず、この本の中で特筆すべきなのが、「新薬の開発は難しい」ということです。

新薬というのは、作ることが難しく、研究員が一生かかっても作れない可能性もあります。

製薬業界には、ブロックバスターという医薬品の名前があります。

ブロックバスターとは「爆発的に売り上げを上げる薬」のことです。

アムジェンという会社はブロックバスターを2つも持っています。エポジェンとニューポジェンです。

  • エポジェン (EPOGEN:Epoetin alfa):赤血球増殖薬
  • ニューポジェン (NEUPOGEN:Filgrastim):白血球増殖のための顆粒球コロニー刺激因子

1つのブロックバスターを作ることが出来れば、会社を黒字経営できるものを2つも持っています。

この2つの薬の開発を通してアムジェンは世界企業へとなっていくのです。

いつも新薬を開発しているアムジェン

アムジェンはいつも新薬を開発し続けています。自分の会社内だけで新薬を作ることができる環境が揃っているから、新薬を作り続けることができるのだそうです。

Wikipediaからの引用ですが、下記のような薬が有名だそうです。

  • アラネスプ(Aranesp:darbepoetin alfa) – エリスロポエチン製剤/貧血 – 20億ドル(日本では「ネスプ」の販売名で協和発酵キリンが製造販売)
  • エンブレル(Enbrel:etanercept) – 関節リウマチ – 42億ドル(ワイスとの共同開発、日本では武田薬品とファイザーが発売)
  • ニューラスタ(Neulasta:Pegfilgrastim) – 持続型G-CSF – 41億ドル(日本では「ジーラスタ」の販売名で協和発酵キリンが製造販売)
  • エポジェン(Epogen/Procrit:epoetin alfa) – エリスロポエチン製剤/貧血 – 19億ドル(日本では「エスポー」の販売名で協和発酵キリンが製造販売)
  • ニューポジェン(Neupogen:filgrastim) – G-CSF – 13億ドル(日本では「グラン」の販売名で協和発酵キリンが製造販売)
  • センシパー(Sensipar:cinacalcet) – 腎臓疾患、副甲状腺機能亢進症 – 9.5億ドル (日本では「レグパラ」の販売名で協和発酵キリンが製造販売)
  • Kepivance (palifermin) – 口腔粘膜炎
  • Kineret (アナキンラ、anakinra) – 関節リウマチ
  • Vectibix (panitumumab) – 腸癌(抗体医薬)- 3.6億ドル(日本では武田薬品が販売)※金額は2012年度の売上高
  • プラリア(Prolia) – 骨粗鬆症(日本では第一三共が製造販売)

普通は新薬をこんなに生むことはできません。

だいたい大手の製薬会社は新薬を産んだベンチャーを会社丸ごと買収する手法をとっているくらいです。

世界最高のバイオテク企業が新薬を作り出し続けている理由は?

なぜ、アムジェンは新薬を作り出すことができるのでしょうか?

この本に書かれている新薬開発に必要なものは2つだと言われています。

優秀な人材

アムジェンは採用に力を入れています。優秀な人材であること、そして優秀な人材が新薬が開発できるように人の育成にもこだわっているのです。

本社の所在地も優秀な科学者を引きつける為に決められたそうです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校やカリフォルニア大学サンタバーバラ校やカリフォルニア工科大学との等しい距離を結んだところに本社を設立しています。

それも優秀な人材を獲得するために通いやすく研究所にも行きやすい所を選択しているのです。

優秀な科学者がいれば優秀な薬を作ることができます。

最近のIT系の企業も優秀な人材を求めているのと同様に、人材こそが宝だという考えがこの企業にはあるのです。

価値観の徹底「風通しの良い社風 」・「科学に基付け」

アムジェンは価値観を徹底しています。その価値観とは「患者、社員、株主のために価値を創造せよ」という点です。

自分たちは患者、社員、株主のために存在しているということが徹底されているので、患者のためを思っての発言であれば、なんでも言えるような企業文化になっています。

このように、風通しの良い社風を作ることをアムジェンは重視しているのです。

風通しの良い社風であれば、言いたいことも言えますし、部署同士がライバル関係になることもなく、色々な人とも横断的に話すことができます。そうすることで、開発がスムーズにいくのです。

また、「科学に基づけ」という文化もあります。これは科学に基づいていない意見は意見ではないということになります。

科学に基づけというのはデータで話せということ。つまり、データが無い意見は意見ではないのです。

こういった科学者を大切にする姿勢と、新薬を開発する土壌が出来たのです。

世界最高のバイオテク企業は科学とビジネスを融合させる

新薬が素晴らしいものであっても、ビジネスがうまくいかなければ売上があがらず、経営を続けることができません。

アムジェンは科学とビジネスをどう融合させていくかを考えます。

アムジェンは、パートナーを選びます。

アムジェンとジョンソン&ジョンソンが手を組むが争いになる

アムジェンの科学力というのはジョンソン&ジョンソンも営業部門はうちがやりたいとアプローチしてくるレベルです。

本書でもアムジェンとジョンソン&ジョンソンが提携したことがあると書かれていました。

しかし、ジョンソン&ジョンソンは契約した薬をすべて売り切るということで業務提携をしたはずなのに、なかなか売ってくれませんでした。

あとになって分かるのですが、ジョンソン&ジョンソンはアムジェンの薬を真似て、薬を開発していたそうで、意図的に売らないようにしたそうです。そのため、アムジェンとジョンソン&ジョンソンは利益相反で争いになっています。

下記の記事は英語ですが、こんな感じで訴訟になっていたそうです。

LINKAmgen Wins One Against Johnson & Johnson

世界のバイオテク企業が日本のキリンと組んだ

アムジェンは日本のキリンとも提携しています。

そもそも、キリンが製薬会社を設立したキッカケは、ビールがあまりにも売れすぎていることから始まり、投資家に何かをしろと言われたことがキッカケだったそうです。

金が余っているから、金になるのが遅い製薬会社だと思って始まったのがキリンの製薬部門だそうです。

アムジェンとキリンの合併

引用:The Amgen Story

1984年に日本のキリンとアムジェンが提携します。アムジェンとキリンの提携はすごくよかったそうです。

仲を深めるために、一緒にゴルフに行ったりもしたそうです。

お互いにパターを短めに打って互いに譲り合うショートパターの精神で仲を深めたそう。

ちなみに、2017年にアムジェンとキリンの提携は終了しています。

LINKキリンHD、米アムジェンと合弁解消 30年超の歴史に幕

アムジェンの営業戦略はトップを落としていくこと

アムジェンの営業戦略もデータに基づいて行われています。

アムジェンにもMRという薬の営業部隊はいます。

しかし、ただ闇雲に色々な医者に会って売るのではなく、専任のトップの医者を数人で営業しに行くのだそうです。

そのためMRの人数は少人数なのにも関わらず、トップの医者に対して確実に営業をしていくため、効率的にマーケットを広げられるようにやって言った。

医師の資格・売り込みを行くのも、科学に基づいておこなっており、戦略的な部分が大切だったと言われています。

世界最高のバイオテク企業は世界最高のIT企業と似ている

人材戦略や社風についての話も書いてありましたが、これはGoogleのWork Rulesに書いてあるのに被る部分が多かったです。

例えば、360度面接や、部下になる人にも面接してもらったりする。

詳しくは下記もご一緒にご覧ください

ワーク・ルールズ!まとめ:チームの生産性を上げるGoogleの工夫?
チームの生産性が上がらないと嘆いているあなた。ワーク・ルールズがおすすめです。Googleの採用・育成・評価戦略が全て1冊にまとまったこの本は、あなたのチームの生産性を上げるヒントが書いてあること間違いないでしょう。