書評「GAFA」要約:世界を変化させた企業!キーワードは「欲望」

書評GAFA要約

「さらに発展していく企業はなんだろう…」

「将来的にどういう分野で仕事しようかな?」

時価総額1兆ドル(100兆円)を超えた企業は世界に2社しかありません。

AmazonとAppleです。

2018年8月末の世界時価総額ランキングの上位は下記の通りです。

  1. Apple
  2. Amazon.com
  3. Microsoft
  4. Alphabet (Google)
  5. Berkshire Hathaway
  6. Facebook

アメリカで有名な言葉に「GAFA」という言葉があります。

GAFAとはGoogle/Apple /Facebook/Amazonの略で、世界時価総額ランキングのTOP6の内の4社です。

GAFAについて分析した「GAFA」という本があります。

著者であるスコット・ギャロウェイは、ニューヨーク大学のMBAの教授であり、最高のビジネススクール講師50名に選ばれた方です。

シリアルアントレプレナー(連続起業家)として有名で、9つの会社を立ち上げ、1社は株主公開まで成し遂げました。

ゴールドマン・サックスにいたこともあり、金融系の知識も豊富です。

今回は「GAFA」の書評と要約の一部をご紹介します。

話題騒然! 発売1週間で10万部突破!Google、Apple、Facebook、Amazon――GAFA
GAFAが創り変えた世界の姿とは。この激変を予言した著名教授が断言する、次の10年を支配するルールとは。米国発、22カ国で続々刊行のベストセラーがついに日本上陸!
【本書の3大テーマ】
GAFAはなぜ、これほどの力を得たのか
GAFAは世界をどう支配し、どう創り変えたのか
GAFAが創り変えた世界で、僕たちはどう生きるか

引用:Amazon

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GAFAについての動画もあります

日本語の字幕はありませんが、著者がTEDでスピーチしている動画もありました。

こちらを見てから、下記の書評を見ると良いかもです。

GAFAを知る意味とは「現代を知ること」

GAFAについて詳細に理解することは、現代を知ることと同じ意味があります。

なぜならGAFAをはじめとするトップ企業は、現代の生活の深くまで入り込んでいるからです。

本書の中で、著者は「この調子だとアメリカは300万人の領主と3億人の農奴の国になる」と述べています。

GAFAは生活に深く入り込んでいるだけでなく、雇用の状況や富の分配状況なども大きく変えているのです。

GAFAは常識を変えてきた企業

GAFAとはIT企業のことを指しますが、著者は下記のような位置付けで捉えています。

  • Google:検索エンジン・知識の源・マーケティングの常識を変えた
  • Amazon:倉庫付きの検索エンジン+小売業者
  • Facebook:人類史上一番成功したメディア・マーケッターの楽園
  • Apple:低コスト製品を高値で売るブランド・メーカー

もはや単なるIT企業ではないです。人間の生活に根付いている多くの常識を変えてきた企業がGAFAだと言えます。

GAFAの成長は人間の欲求

GAFAの成長は人間の欲への働きかけが刺激となり成長してきました。

  • Google:知的欲求(人間の心)
  • Amazon:物欲(食指)
  • Facebook:承認欲求(人間の心)
  • Apple:モテたい欲(人間の下半身)

GAFAのそれぞれの企業について

GAFAの中で成長スピードが著しい物欲のAmazon

GAFAの中では、Amazonはもはや、IT企業というくくりではありません。人間の物欲を刺激し成長した小売業です。

AmazonはWhole Foodsを買収し、実店舗開発を進めています。これは、リアルとネット両方のチャネルで販売網を獲得することに繋がるからです。

実店舗の開発を進める理由は、ものを売る店舗+倉庫になるから。

配達をさらに短くするための飽くなき構想がAmazonにはあるのです。

創業者のジェフ・ペゾズの構想は、実店舗導入によるリアルとネットの融合だけではありません。

現在は空飛ぶ倉庫の構想もあり、さらに低コストの在庫保管を考えているのだそうです。

Amazonの成長スピードが早いのは、儲かったお金を設備投資にまわしていることです。

モテたい欲を刺激し圧倒的な利益率を取るApple

GAFAではAppleはブランド・メーカーという位置付けで語られています。

日本で10万円以上もするiPhoneですが、原価は4万円程度でしかありません。

スマホの普及率でいくとSamsungのAndroidが一位です。一方でAppleのiPhoneは市場の10%も取れていません。

しかし利益のシェア率で見ると、Appleがダントツトップです。

  • iPhoneの利益シェア率:80%
  • Samsungの利益シェア率:10%程度

低コストの製品を高値で売れるのは、Appleがブランド・メーカーだからです。

Appleには原価4万円のものでもブランド価値で17万円払って買う人がいます。それだけ価値があると感じている人が多いということでしょう。

本書の中でも「異性にモテたいならiPhoneを購入しろ」と書いています。

Appleのブランドが強い理由は下記のように説明できます。

  • デザインがシンプルで洗礼されている
  • スティーブ・ジョブズが亡くなったことでブランドイメージができた
  • ブランド力を高めるApple Storeの存在

Appleのデザインは全てがシンプルで、持っているだけでクールなイメージを与えます。

また、スティーブ・ジョブズが亡くなり、ブランドイメージがさらに洗練されました。

カリスマは死んだことでブランドイメージが神格化される傾向があります。

死に方がドラマチックであればあるほどさらに、ブランドイメージがさらに高まります。

スティーブ・ジョブズの伝記などを読むと分かりますが、スティーブ・ジョブズはお金にがめつく、社会貢献を全くしていません。

娘さんにお金払いたくないから親権不要の調停を起こしたとも言われています。

しかし、スティーブ・ジョブズが亡くなった後は、汚点や苦労が語られることが減っています。

そして語られる内容はスティーブ・ジョブズは素晴らしいという点が強調されているのです。

さらに、ブランド力を高めるのに大切なのが、Apple Storeです。

▼Apple Storeでブランド力が高まる理由

  • 外から中が丸見え
  • 立地も高級店が多い
  • デザイン性も高い

ブランド戦略をちゃんと作り、戦略の元、ブランド価値を高めているのです。

知的欲求を満たすことで成長したGoogle

Googleが誕生する前は、わからないことを調べるのって、めちゃくちゃコストがかかってます。

図書館に行ったり、書籍を購入したり、知識のある方を見つけて検索したり…

大変な労力がかかって、やっと知的欲求を満たせたのです。

しかしGoogleが誕生してから、知的欲求を満たすコストは圧倒的に下がりました。

気になったことがあったら、スマホを開いてすぐに検索。労力もかからずにパっと情報が出てきます。

さらに人には言えないこと(悩み・下世話なものなど)もGoogleでこっそり検索できるので、より知的欲求を満たす結果になるのです。

知的欲求を満たすための検索エンジンを提供しているGoogleが得たのは、膨大なプライバシー情報です。しかもそれを無料で手に入れることができるのです。

Googleが誕生するまでは、顧客リサーチを重ねるなどの膨大な時間と料金が必要でした。

Googleは市場のお客さんのニーズや特性を無料で仕入れています。企業は広告という形で、Googleが持た情報を使うことができるのです。

現在、ネット広告市場は成長し続けています。TVなどのマス広告よりも、個人のニーズに焦点を当てた広告のほうが、売上も伸びやすいので、活用することが増えているのでしょう。

承認欲求により成長するFacebook

Googleが検索エンジンを提供することで個人情報を無料で仕入れています。同じく、Facebookも個人情報無料で仕入れることができます。

Facebookの場合は承認欲求を刺激することで達成しました。「Like(いいね)」というシステムです。

Likeを押される数が多ければ多いほど、嬉しくなります。

人間には承認欲求があります。

さらに多くのLikeを求め、下記のようなプライバシー情報をさらけ出す投稿が多くなるのです。

  • 旅行した場所
  • 最近見た映画・本
  • 最近行ったディナー

さらに、Facebookが買収したInstagramでは画像が中心のSNSです。

画像とともに自らの個人情報をドンドン投稿するのです。

企業がFacebookやInstagramに広告を出せば、Facebookが集めた個人情報を活用できる状態です。

このように、人間の承認欲求を上手く利用して、個人情報を集めているのがFacebookの特徴です。

GAFAの崩壊する中流階級と広がる格差社会

過去の時価総額ランキングのトップ企業と言えばGM・GE・ウォルマートでした。

それぞれの企業は従業員数が20万人か30万人を抱えていました。

現在の時価総額トップの企業はGAFAも含めて、従業員数が数万人程度の規模です。

IT企業が多いので工場などが不要であり、少数精鋭の企業体が多いのです。

  • 過去の企業の富の分配:従業員20万〜30万人
  • 現在の企業の富の分配:従業員1万人のみ

つまり、トップ企業の1万人に富が集中していくのです。

GAFA4社を合計すると従業員は約10万人程度。4社の売上はGDPで言うとイタリアに匹敵します。

イタリアは6000万人が富を分配しています。しかし、GAFA4社はイタリアと同じGDPを10万人で分配しているのです。

本書でも、ビリオネアになる人は限られているが増えた一方で、ミリオネアになる人はかなり減っていると言われています。

現在の状況は、上流階級や高年収が生まれやすい反面、低収入の方が増えています。

人材がいらないIT業界の経営が良くなるほど、どんどん人々の雇用を奪っていくのです。

GAFAを読んでどう活かすのか?

GAFAを読んだ後に内容をどう活かせば良いのでしょうか?GAFAに所属するか、仕事で活かすのかの2択になるでしょう。

GAFAに所属するのは難しい

学歴・人格・発想力・意思決定力など幅広い分野で認められなければ、GAFAに就職試験の入社は無理でしょう。

GAFAに就職試験で入社できないならば、GAFAからの買収を狙った起業はありかもしれません。もしかしたら、GAFA以外の企業からの買収の話も来るかも知れません。

しかし起業は、超優秀で無い限りはかなりリスクが高い選択肢の一つです。

最終的に著者は「超優秀な人間にとっては最高の時代だ。しかし平凡な人間にとっては最悪である」と断言しています。

GAFAを自分の仕事に活かす

超優秀ではない平凡な人間がGAFAの内容を活かすには、仕事でGAFAの共通点を取り入れることを狙いましょう。

▼GAFAの共通点

  • プラットフォーム
  • 人間の欲を刺激する

プラットフォーム・人間の欲を刺激する点を、自分の仕事にも作りましょう。

人間の欲は無数にあります。GAFAが刺激する欲は、知識欲・モテたい欲・承認欲求・物欲です。

欲を刺激できるプラットフォームを作れば、顧客のプライバシー情報を無料で取得できるでしょう。

GAFAと同じ成長の原動力がある仕事ができるのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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