身近な貧困問題を扱っている本です。主に高齢者の話が中心ですが、若年層の貧困や子供の貧困についても書かれています。著者は埼玉県を中心にNPOをしていて、貧困問題に着手。
著者は、下流の老人を含めて、生活困窮者の支援を10年以上行なっており、その警鐘を鳴らす為にこの本を書いた。
目次
下流老人がオススメの人
- 若年層の貧困や子どもの貧困について知っておきたい人
- 将来的にどういう問題が起こるのか知っておきたい人
下流老人はどういうものか?
生活保護基準で過ごす人。推定600万人から700万人いるとも言われています。
日本の貧困の定義は?
可処分所得が中央値244万円で122万円以下が貧困と言われています。日本の中には、16.1%が相対的貧困である。
高齢者が貧困になりやすい理由は?
医療費がかさみ収入が減るのに支出が増えてしまうことが原因だそうです。高齢者になると医療費で生活費が高騰してしまう。
二人暮らしの高齢者の平均的な暮らしは27万円(総務省の統計)高齢者の年間所得の平均は250万円。仮に年金が21万円だと、月6万円だと、5年で無くなる。支出を抑えたり、パートに出ないとやってられない状態になってしまう。
下流老人になる人の3つのない
- 収入が少ない
- 貯蓄が少ない
- 頼れる人がいない
一部の人が下流老人なのか?
貧困は、国や社会システムが作り出すもの。個人が現役でどのくらい働いたとかでは関係がなく、誰もが陥るリスクがある。
普通だと思っていたのに、下流に陥ってしまった人の話が書いてある。
下流老人になる5パターン
下流老人に陥るには5パターンあると言われています。
- 病気や事故で高額な医療費を支払わないといけなくなった
- 高齢者用の介護施設に入居できない。認定が取れない。粗悪な環境で自力で生活するしかない。三食レトルト・ベニヤ板で区切って実質2畳で過ごす。
- 子供がワーキングプア(年収200万円以下)子供を養わないといけない。子供が親に寄りかかる。
- 熟年離婚
- 認知症で周りに頼れる人がいない、悪徳業者に騙されてしまう
パターンは5つあり、誰にでもリスクがあるから、貧困に陥るリスクは誰にでもある。
今と昔は異なる?
今と昔はお金の価値や、健康の重要性など、色々なところで違いが必要になってきます。
年収400万の価値の違い
今と昔では年収400万の違いがある。昔の年収400万円は丸々使えるが、今は年収400万円でも福利厚生がなくなっている。家賃補助がなくなる。生活習慣病で医療費を支払い続ける。社会保障費の圧迫により負担率が増えていく。
働く期間を長くする必要性
昔は年金がありましたが、今は年金があるかどうかも微妙なところです。そうなると、働く期間を長くする必要性が出ます。働く期間を長くするのにも健康でないと難しいでしょう。
ほとんどの人が自分が大丈夫だと思っていても、親が病気、子供がうつ病の可能性ある。
生活保護の予算が増えている?
今と昔の違いの中で言えることは社会保障費が増大しており、特に生活保護の予算は増え続けています。
2002年の大阪市の生活保護の予算は2000億円ですが、2014年は3000億円になりました。約1000万円ほど増加しています。
台東区でも、一般会計予算の25%が生活保護費。
今できることは?社会システムをよく知ること
こう言った世の中にいきている人たちにとってできることは、完全に自己責任論ではなく、社会の仕組みを知ることが大切であると言うことです。
例えば、社会保障がどのくらい持つのとかを知っておくべき。
親世代だけではなく、自分自身が貧困になり得ると言う現状を直視し、将来的にどのようなことが起こりうるのかを、社会システムという目線から知っておくことが大切だと言われています。
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