書評「夜と霧」最悪な状況で見出した人生の価値とは?

人は極限の状態に追い込まれた時に、その状況からどう抜ければ良いのでしょうか?

様々な本で「夜と霧」は取り上げられています。

ナチスの強制収容所に入れられ心理学者の方が書いたこの本は、凄惨な現場を見ながらの人の心のあり方を描かれている本です。

ちなみに、原題訳は「強制収容所における一心理学者の体験」となっております。

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夜と霧がオススメな方って?

夜と霧を読んだ方が良い方は下記の通りです

  • 困難に直面した際の切り抜け方を知りたい人
  • 強制収容所がどういうところだったのかを知りたい人
  • 誰にも奪えない人生の意味を知りたい人

英語版だけでも900万部近く売られている大ヒットの小説です。

ナチスの強制収容所の凄惨たる現場とは?

夜と霧は、心理学者の作者自体が強制収容所で体験したことが描かれています。

強制収容所は、枕がないから、自分の腕で枕を作らないといけません

基本的に肉体労働が労働などの重労働がメインです。

食事も満足に与えられません。

ボロ布切れ一枚で生活をさせられています。

囚人が良い靴を履いていれば、見張りの人に取られてしまう。

ガス室送りの恐怖や、収容所たちの人間関係は劣悪です。

そのような劣悪な状態の中でも様々な人間がいることに、著者のフランクルは着目します。

ショックに慣れると感情は喪失してしまう

人はショックを受け慣れることで感情が喪失するそうです。

例えば、監視官が囚人を殴ることがあります。

囚人達は「仲間を助けなければ」助けなきゃとか思うしが、後半は何も思わなくなるのだそうです。このように感情が消滅していきます。これを感情の消滅(アパシー)と言うそうです。

フランクルはこの感情の消滅を「なくてはならない盾」と説明します

感情の消滅や鈍磨、内面の冷淡さと無関心。

これら、被収容者の心理的反応の第二段階の特徴は、ほどなく毎日毎時殴られることにたいしても、なにも感じなくさせた。

この不感無感は、被収容者の心をとっさに囲う、なくてはならない盾なのだ。

引用:夜と霧

どういう人が生き残れるのか – 希望か体力か?

劣悪な収容所の中で、すぐに亡くなってしまう方と、ずっと生き残っている方がいます。

その人達に共通する点はどういうところなのでしょうか?

希望がある方が生き残ったのでしょうか?体力に自信のある方が生き残ったのでしょうか?

生死を分けたのは「生きる希望」

生死を分けたのは未来への希望だそうです。

未来があると信じている人や、待っている時間があると辛抱強く耐えられた人が、生き残ることが出来たと結論付けられています。

これは生きる希望がその人を生かしたということになるのでしょう。

体力よりも希望が大切な理由

実際に体力がある人が生き残ったというわけではないそうです。

繊細な性質の人間の方が、頑丈な身体の人々よりも、収容所生活をよりよく耐えた例もあるそうです。

つまり、体力よりもメンタルの方が過酷な状況を耐えるために必要なのです。

与えられた事実に対してどういう態度をとるかは、誰にも奪えない、人間の最後の自由である

引用:夜と霧

夜と霧の著者も、劣悪な収容所で迫害されるという苦しい事実に直面しながらも「収容所を出たら、多くの人にこの収容所の現状と学んだことを伝えたい」と思っているからこそ、苦しい事実にも関わらず、客観的になって記録することが出来たのです。

事実に対しての解釈は人間の最後の自由とは、起こった苦しい出来事についてどのような意味をつけるかは自己選択によって可能であるということです。

将来に対する希望があるからこそ、現実に対する捉え方に変化が生まれます。その結果、生き残ることが出来たのです。

夜と霧から読み取れる困難な状況を切り抜ける方法 -「未来を考える」

「とても困難だな」

「非常に厳しいな…」

辛く困難な状況から切り抜けるにはどうすれば良いのでしょうか?

困難な状況を切り抜けるには、未来を考えることです。

未来を考える時に「都合の良い人生」を期待してはいけない

未来を考えることが大切だという時に「この困難を切り抜けたら自由だ」「あと少しで終わる」と都合の良い人生を期待してはいけません。

都合の良い人生を期待すると生存率が落ちて亡くなる可能性が高いそうです。

都合の良い人生を期待する人は、「長生きできるのか?」「生き残ることができるかな?」と考えてしまいます。

生き延びられないと無意味と感じてしまうからこそ、良い人生にしないといけないと思ってしまいます。

しかし、収容所の現状は中々変化することは出来ません。

長い間、「良い人生にしなければ」と期待を持ち続けることが出来ず、実際には良い人生にならないと絶望してしまい、生きる希望を無くして死んでいくのだそうです。

現代に置き換えるのならば、良い人生を期待してはいけないということです。

このことは、ビジョナリー・カンパニー4でも記載がありました。

ベトナム戦争で生き残った人は、「すぐに助けが来る」と短期的な期待をせずに、「いつかは助けが来るけど今ではない」と長期的な期待を持ち続けたと言えるのです。

参考書評「ビジョナリーカンパニー4」有望な企業は運を味方につける?運を生かす管理法とは?

良い人生を期待せず「人生が私に何を求めているのか」を考える

良い未来を期待すると生存率が下がると言われていますが、では未来を考える為には何を考えればよいのでしょうか?

本書の中では「人生が私に何を求めているのか」を考えることだと言われています。

「苦しい現実は何のためにあるのだろうか?」

「人生は私に何をしてほしくてこのような困難を与えるのだろうか?」

人生に求められることを捉えることが苦しい今の現実を過去にして突破することができる手段だとしています。

全ての出来事に感謝が出来れば生存率が上がる

では、結局のところ人生に求められることとはなんでしょうか?

人生に求められることというのは「運命」です。

何のために生まれてきたのか?」

なぜ自分はこんな苦しみを得ているのだろうか?」と考えます

このような質問を自らに問いかけていくうちに、苦難も死も人生であり生きることの一部なのだろう。と今起こっている日々のことに感謝が生まれるます。

つまり、運命に対して感謝することができるのです。

運命に感謝することが出来れば、生存率を上げることができると言います。

現代に置き換えると、成功でも全然ない状態にどういう意味があるのかを考えて、その意味づけをし、日々の出来事に感謝するということです。

夜と霧で学ぶことができる「人生の3つの価値」

人生においては3つの価値があると著者は言っています。

創造価値 – 価値を創造すること?

人生の意味の1つ目は、人間は価値を創造することできることです。

仕事や様々な役割における活動によって実現される価値のことを言います。

どんな仕事をしていても誰かの役に立っています。

それこそが価値を創造することができるということなのです。

体験価値 – 価値を体験すること?

人生の意味の2つ目は、人間は価値を体験することができることです。

貴重な体験でも良いですし、自然を味わっても良いです。

自分が今まで味わったことのない感動などを味わうことで価値を体験することができるのです

態度価値 – 決して奪われない自由とは?

人生の意味の3つ目は、人間はどのような態度を取るかを自分で決めることができることです。

自分に与えられた状況や運命に対してどういう態度を取るのかを決めることです。

態度価値こそが最も重要な価値である

強制収容所という究極的に人間を拘束された状態だと、人生の価値である創造価値と体験価値は奪われます。

ただし、態度価値は奪われることはありません。

例え、強制収容所という究極的に拘束された場所であっても、出来事に対してどんな態度を取るのか選択できるのは100%自分です。

出来事Aがあった時に、Bと感じるのか、Cと感じるのかを選択するのは自分です。

出来事に対する態度を選択する自由こそが誰に奪うことが出来ない自由なのです。

つまり、心が自由である。つまり態度が自由であると言うことが最も大切な人生の価値なのです

夜と霧を読んで態度価値を存分に味わう

人生における最も大切な価値は「態度価値」であり、出来事に対してどういう風な態度を採るのかを決めることを言います。

ムカつく出来事に対してすぐにイライラするのではなく、一旦落ち着いてから態度を選択すること。

悲しい出来事が起きた時にすぐに悲しむのではなく、一旦落ち着いてから態度を選択すること。

嬉しい出来事が起きた時にすぐに喜ぶのではなく、一旦落ち着いてから態度を選択すること。

態度を選択することができることこそ、人生の価値なのです。

私もこの本を読んでから出来事に振り回されると疲れることに気付きました。読んでからは出来事にあまり期待せずに、振り回されないように意識することにより、心を平穏に保つ事ができています。

もしも、ご一読頂けると幸いです。