「企業は最高益を更新しているのに、なぜ人材不足と言われるのだろう…」
「もっと雇ってくれても良いじゃん…」
求職者からすると、「ふざけんなよ!」って思えるようなニュースって最近多いですよね。人材不足で倒産している企業が増えているそうです。
なぜ、企業が最高益をあげていると言われる一方で、倒産する企業が出てくるのでしょうか…。
一体、景気が良いのに人材不足の理由は何なのでしょうか?
今回は、景気が良いのに人材不足になる理由と対策について解説します。
目次
実は景気が良いのに人材が不足している
下の図は企業の売上高経常利益率を出したグラフになります。要は、どのくらい儲かっているのかを出したグラフです。
売上高経常利益率のグラフを見る限り、現在の企業はかなり利益を上げていることが分かります。
売上は良いのに人材不足を感じる企業
売上は良いのに、現在は人材不足と感じている企業が多いです。
帝国データバンクが調査した結果によると、2018年景気への懸念材料は「人手不足」(47.3%、前回調査比 20.6 ポイント増)が最高という調査結果が判明しました。
売上が良くて利益率も良いんだから、人を雇えば良いんじゃない?
人材不足の原因とは?「簡単に人を雇えない理由」
売上が良いんだから、人を雇えば良いと思うかもしれません。
しかし、人を雇うと発生するデメリットもあります。
仮に、今は良い売上げかもしれませんが、将来的に売上が下がった場合、正社員で雇った人は中々やめさせることができず、人件費が経営を圧迫する可能性も出てきてしまいます。
人を雇うと発生するデメリットは沢山あります。その結果、簡単に人を雇って人材不足を解消すること難しいのです。
大手が優良な人材を確保する「優秀な人材の不足」
中小企業が人材不足になる原因は「雇いたい優秀な人材が不足している」ことになります。
帝国データバンクの調査結果によると、中小企業も「賃金を上げて優秀な人材をなんと確保したい」と思うのに、大手がさらに上回る条件で採用活動をしているため、人材を確保することがむずかしいのです。
企業からは、「人手不足への対応のため賃金を上げざるを得ないが、大手はさらにそれを上回る好条件で採用活動をしており、今後一層、人材の確保が難しくなってくる」(警備業)といった、人手不足による悪影響を指摘する意見が多くみられた。
人件費は一番削りにくいコスト「人材不足だけど雇うのが怖い」
一回正社員として雇ってしまった人を、やめさせることは日本の法律ではできません。不当解雇にあたってしまいます。
そのため、優秀ではない人材を採用してしまい、「辞めて欲しいな」と思っても難しいです。また、企業の利益が下がっても人を辞めさせることが難しいのです。
人件費というのは一番削りにくいコストなので、不用意に人材を雇うのは恐怖でしかないのです。
人件費は一番削りにくいコストであり、不用意に人材を採用をして人数を増やさず、慢性的に人材不足だけど、経営的には利益率が高いという状態にしたほうが、企業としても安心なのです。
また、削りにくい人件費ですが、正社員ではなく非正社員であれば契約期間が決まっているので解雇が簡単にできます。経済産業研究所でも、企業が正社員ではなく非正社員を雇う理由は「解雇が簡単だから」としています。
グローバル化を背景とした競争激化によって、企業が直面する将来への不確実性が高まり、製品サービス需要が減少した場合、簡単に解雇できる非正社員を雇うようになったことも影響しています。
LINK第4回 正社員の重要性低下
人件費をかけないために人がいなくても回る仕組みを作る
昔の時代を思い返してみると、1900年代はフォードを代表する企業の考えていることは「優秀なライン工でなければ、車が作れない」でした。労働者に対して終身雇用を設けてなるべく辞めさせないように働きかけることにより、優秀な人材も確保できるというメリットがありました。
しかし、今はテクノロジーが普及し、優秀なライン工でなくても機械の補助があれば、車が作れます。
このように、人がいなくても回る仕組みができてくると、正社員雇用が不要になってくる可能性があります。正社員ではなく、短期的に集まれる人がプロジェクトを組んで働くようになる可能性もあります。
これからの時代は、技術革新やマニュアル化により、誰でもある程度の技術があれば、車の生産ができるようになる。アジア圏のもっと賃金の安い地域にアウトソーシングしたり、むしろ機械である程度の工程ができるようになれば人は不要になります。
中国のあるメーカーは、中国に100万人の雇用を創出したと書いてありました。その理由は中国の雇用は、工場等の投資無しに、ある決まった期間だけでも労働者を雇えるというのが大きな理由でした。
このように、グローバル化と技術革新によって、より簡単に契約を打ち切られ、より賃金の安いところで、コストを抑えるというような働き方が今後も進みそうです。
人材不足の原因は「円安・消費税率引き上げによる収益悪化の懸念」
昔は好景気で人口も伸びていき、アメリカからの輸入もあったりして、売上が上がっていくことがほとんど確約された時代でした。
そのため、人を雇っても将来的に売上が上がることが決まっており、人を雇うことに恐怖が無かったのです。
しかし、今は円安の影響で原材料費が上がる可能性もあり、消費税が引き上げられたら人々の購買力も低下することが予想されるので、利益が下がる可能性もあるのです。
再び帝国データバンクの調査ですが、原材料の価格上昇と消費者の財布のひもが固くなることを心配している声もあります。
また、「これ以上の円安が進行すると、輸入材の仕入れコスト上昇による収益悪化の懸念がある」(繊維製品卸)や「一般的な食品にかかる消費税率を引き下げないと、財布のひもは一層固くなる」(飲食料品卸)など、原材料価格の上昇や消費税率引き上げを懸念する声もあがった。
名目賃金の上昇で「零細企業の人材不足」
さらに、零細企業が人を雇えない理由は「名目賃金の上昇による人件費の上昇」により、コストが重くのしかかっていることが原因です。
賃金は上がっていないと思われるかも知れませんが、実は少しずつ賃金は上がっています。詳しくは下記のグラフをご覧ください。
では、なぜ賃金が上がっているのでしょうか?
賃金が上がっている最大の理由は「消費者物価が上昇しているから」です。
消費者物価は2010年から2017年でジワジワと上昇しています。下記は日銀がまとめているグラフです。
消費者物価が上昇するということは、生活にかかるお金が高くなったこと。電気代も値上がりしていますし、食品も少しずつですが高くなっている印象があります。
つまり、今までと同じ賃金では物価が高くなっているので、同じ生活ができなくなっているのです。
今は、全体的に賃金を上げようという動きがあり、大手は賃金を上げる方向に行っていますが、零細企業も賃金を上げないと人材を確保できないません。
しかし、零細企業はお金がない企業であり賃金を上げること=経営を非常に圧迫します。結果的に零細企業が人材を確保することが難しくなっているのです
人材不足の対策は「労働生産性を向上させる」
今までの話をざっくりまとめると「消費者物価も上昇しているし、企業も人材不足だから賃金を上げて優秀な人材を手に入れないと!」ということになります。
それでは、人材不足に対する対策として企業ができることは何でしょうか?
それは「労働生産性を上げること」言い換えれば、人がいなくても回る仕組みを作ることです。
日本経団連での日銀の講演では、「人材不足だから賃金を上げる」という流れは、昔の好景気だった時代に非常に似ているそうです。
今回の景気回復局面においても、人手不足を起点とする賃金上昇圧力の高まりが、企業に対し、販売価格の引き上げや労働生産性の向上を促すというメカニズムは働いています。この点で、今回の局面は、2000 年代半ばの回復局面ではなく、いざなぎ景気や平成景気に類似しています。
確かに、人材不足により生産性を向上するという観点から、人工知能の導入やロボティクスの導入など、人がいなくても回る仕組みというものを導入している企業が目立ちますよね。
企業は人件費を抑えることができるので、より利益を高めることができるのです。
人材不足の原因は有能な人材の不足
にわかには信じ難いことかもしれないが、世界中の企業の3社に1社は現在、有能な人材が不足しているため、自社が求めるポジションに人を調達することができずにいる。さらにおよそ4社に3社は、優秀な人材の不足による影響を多少なりとも実感している。
不景気なのに、企業が雇わない原因は有能な人材がいないからと言いました。
この原因は簡単で、20年や30年前と今では働き方や求められるスキルが変化しているからです。
例えば、昔よりも高度な機械を使わなければいけないし、昔よりも高度なマーケティングが必要になります。また、昔よりもコミュニケーションや共感力が大切になっています。
この結果、企業が求める有能な人材を探すことが大変になっています。さらにグローバル化が進むことにより、より企業が優秀な人材を確保することが難しくなっています。
何故なら、優秀な人材はドンドン流動的になり、外資系や海外企業にとられてしまうからです。
企業が技術のある有望な人材を高望みするから、人材不足が起こります。
そうではなく、若手育成期間も踏まえた採用をすることで、有望な人材を見逃さないことにつながります
有能な人材=生産性の高い人材=ポータブルスキルを持つ人材
よく技術や、技量という通常「資格」で測れるものを重視しがちではあるけれど、
このレポートを見る限り、特定のスキルではなく、どこにでも通用するスキル(ポータブルスキル)。を重視するべきという点が散見されました。
ポータブルスキルの例
- コミュニケーション能力
- 組織適応能力
- 対人関係
- もの覚えのよさ
- 問題解決力
人材不足でも雇われる「ブランド力をつける」
今の就職活動でも、自己PRで語れるからという理由でこういうことが必要だと言うのは事実です。
しかし、私が言いたいのは、体験こそ重要だということです。
例えば、Googleの採用ではこのような質問があるそうです
- 「何かの世界記録を生み出したことはありますか?」
- 「クラブを創設した経験はありますか?」
- 「普段どのようなメーリングリストに加入してますか?」
また、コンテスト方式で勝者は入社できるものもあります。
つまり、学歴ではなく実績で採用が決まるということです。
「学歴は便利?学歴なしでも戦える?学歴社会の崩壊で変わる学歴のルール」でも解説しましたが、今は学歴が不要な時代なので、これからは自分でブランドを作る事が大切なのです。
働き方の変化を捉えて、事前準備をする
働き方改革が声高に叫ばれて副業が解禁される時代になりました。
「【働き方改革の影響】働き方改革の理由と意図と個人ができる対策は?」でも解説しましたが、働き方改革が進んでいくと、儲かる人材にお金が集まり、そうでない人材は不要になります。
つまり、昔の働き方は完全に変わる可能性が高いのです。
これからは、従業員制ではなく適材適所な人材を調達しプロジェクトごとに在籍する社員が全く違うような世の中になるのかなと予想できます。
今からできることを探して、自分が活躍できる場所を探すことが大切でしょう。
人材不足は生産性の高い人材になることで対策を
これからの世界は生産性の高い人材が生き残る時代です。
生産性を上げるにはポータブルスキル・ブランド化・事前準備が大切でしょう。
逆に生産性が低いままの人は負け組になる可能性が高いです。
あまり、悲観的に考えたくはないですが、負け組になり、収入が低くなることは十分にありえます。
そうならないためにも生産性を高くしていきましょう。
他にも生産性を上げる方法がありますので興味があればご覧ください。
また、生産性に関する本もおもしろいです。興味があればご覧ください。
>>【取り残されるかもよ?】
働き方が変化している時代に変化を受け入れなければ気づいたら周りから取り残されているかもしれません…。
じつは、会社で隣の人も水面下では、なにかしら働き方を変えようと動いているのかも…。
働き方が変化していることを解説した記事を下記にまとめました!経済の流れを知りたい方はオススメです!
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