「NECのリストラの原因ってなんなの?」
「NECのリストラはなぜ続くんだろう?」
2000年に5兆円の売り上げがあったNECですが、現在は規模を縮小し約半分の2.8兆円です。
人員削減はリストラも含めるとグループ全体で約3万人近く減少しているので、売上の減少は仕方がないことでしょう。
リストラをする理由はコストを削減して利益率を高めることです。
NECの営業利益率は2000年は1.4%ですが、3万人を削減した2018年では2.2%になります。
「え?3万人を削減して営業率の改善が0.8%?」と思うかもしれませんが、利益率が低いの実はグローバル事業拡大に向けた先行投資があるからなのです。
このようなリストラはNECに限ったことではありません。売上ピークが過ぎ赤字体質になっている企業であれば誰でも経験する可能性があります。
つまりNECのリストラの原因がわかれば、もしも自分の身に起きたとしても先を読み行動することが可能なのです。
今回は、NECのリストラの経緯やリストラの原因について解説します。
この記事で学べることは?
- NECのリストラが合計約2万人の早期退職をした経緯が学べる
- NECのリストラの効果や現状の取り組みが学べる
- NECのリストラの原因が学べる
NECのリストラは?合計約2万人を人員削減
NECは2000年から現在までの合計で19000人を早期希望退職などで削減しています。
- 2001年:4000人削減
- 2002年:2000人削減
- 2012年:10000人削減
- 2018年:3000人削減
2018年に発表された中期経営戦略にて3000人の削減が発表されていました。
日経新聞の記事は下記になります。
18年度中に間接業務部門や国内9工場で3000人の希望退職を募る。対象などは今後詰め、工場閉鎖も視野に入れる。20年度までに300億円の人件費削減効果を見込む。NECは01年から3度のリストラで、計1万1300人を削減してきた。従来はこれ以上のリストラには否定的で、「苦渋の決断だった」(新野隆社長兼最高経営責任者=CEO)。
引用:日経新聞
グループ全体では3万人程度削減している
引用:NEC
希望退職などの人員削減は19000名ですが、事業部売却や定年退職などによる自然減を含めた場合、NECはグループ全体で約3万人程度削減しています。
下記はNECのIR資料から抜粋した従業員数です。
2000年から2018年で約3万人が削減されていることがわかります。
- 2000年の従業員数:14万2358名
- 2018年の従業員数:10万9390名
ちなみに、事業部の売却とありますが、NECは、2000年から2018年の間に5つの事業を売却しています。
そのほとんどがハードウェア関連の事業です。
- 携帯
- 半導体
- PC
- インターネットプロバイダ
- 小型電池・車載電池
NECのリストラの効果は?利益率は上がらないが…
リストラをする目的は、コストを削減し、営業収益率を引き上げることでしょう。
売上と比較して営業利益が大きくなっていれば、その分だけ高収益体質な企業になります。
ただNECの利益率は高くなっているわけではありません。
しかし、だからといってリストラの意味がないと決めつけるのはできません。
NECの従業員減少と営業収益は比例しない
NECが約3万人の人員削減をした結果ですが、残念ながら営業収益率は改善していません。
営業利益÷売上を営業利益率として従業員数と比較してみました。
- 2010年の営業利益率:1.4%・従業員数:14万2358名
- 2015年の営業利益率:4.3%・従業員数:9万8882名
- 2018年の営業利益率:2.2%・従業員数:10万9390名
2010年から2015年では従業員数を約4万人ほど削減しています。
2015年は営業利益率が4.3%と高水準になっています。
しかし2015年から2018年までに1万人増加しており、営業収益率は2.2%と悪化しています。
しかし営業収益率が悪化したからといって、リストラの意味がなかったわけではありません。
2018年の営業利益率の低下の原因は、グローバル事業への先行投資をしているからです。
下記は2018年のNECのグローバル事業のレポートになります。
グローバル事業の売上収益は伸びています。
しかし、営業利益率はマイナスを記録しています。
今後、グローバル事業の業務が効率化していけば、全体の利益率が上がることが予想されるでしょう
ちなみに、海外を代表する企業の営業利益率は下記のとおりです
- Netflixの営業利益率:7.5%
- GAFA4社合計の営業利益率:約20%
GAFAに関しては日経新聞によると2012年には26%と高水準の利益率を上げていたことがわかります。
「GAFA」と呼ばれる米ネット大手4社の2018年10~12月期連結決算が4日、出そろった。アップルを除く3社が増収増益を確保。18年通年の税引き前利益は合計で15兆円規模と、圧倒的な収益力を示した。ただ、売上高に対する利益の比率は12年の約26%から20%割れ目前に下がった。データを安全に管理する「社会的責任コスト」などが増している。4社が誇った高速成長は曲がり角にさしかかる。
営業利益は連結子会社の数と比例する?
NECの営業利益率は従業員数の減少とは意味がありませんでした。
しかし、NECの営業利益率は子会社の数と連動していました。
- 2010年の連結子会社数は310、営業利益は509億円、営業利益率は1.4%
- 2015年の連結子会社数は232、営業利益は1,281億円、営業利益率は4.3%
- 2018年の連結子会社数は303、営業利益は639億円、営業利益率は2,2%
連結子会社を増やせば増やすほど営業利益率が悪化しているのです。
連結子会社を増やせば増やすほど営業利益率が悪化するのは、
- 間接部門の人員の増加
- 生産拠点の増加
などのコストに対して収益が上がっていないからでしょう。
NECのリストラの原因は?
NECのリストラの原因は
- ハードウェアからの戦略変更
- 間接部門の人員が多すぎる
そのため、2018年のNECでは45歳以上の間接部門やハードウェアの社員を対象として人員削減しているのです。
ハードウェアからの戦略変更
2000年代のNECはデバイス事業の国内販売も主軸の事業となっていました。
2000年代のNECから分社化されたりしているため、現在とは一概に比較できるものではありません。
NECエレクトロンデバイスについては、ルネサスエレクトロニクスに分社化されています。
2015年の事業別売上の一覧は下記のとおりです
2018年の事業別売上の一覧は下記のとおりです。
2015年と2018年を比較してみると、
- パブリック事業:売上は上がるが営業利益は200億円ダウン
- エンタープライズ事業:売上も営業利益もアップ
- テレコムキャリア事業:売上も営業利益もダウン
- グローバル事業:2015年は明記なし
といった結果になっていました。
間接部門の人員削減
ハードウェア事業で拡大していったNECの売上は、生産拠点を作ったり営業店舗を作ることが必要になります。
その結果として、各拠点や工場の分だけ、間接部門の人員が必要になります。
ハードウェア事業の場合は売上拡大はコスト増と密接に関わっているのです。
約3万人削減したNECのリストラから学べること「利益率が重要」
合計3万人もの人員を削減したNECは、ハードウェア事業による売上拡大が中心だったため、収益率の高いビジネスモデルが確立できていませんでした。
現在も転換点にあり、収益性が見込めるグローバル事業へ投資を行なっているため、リストラの効果が見えないでしょう。
営業収益の大半をグローバル事業に投資しているので、数字上では回復したのかがわからないからです。
NECのリストラの原因は
- ハードウェアからの戦略の転換
- 間接部門の人員削減
収益につながらない間接部門の人員は、工場閉鎖などにより会社自体の人員が削減されたら、縮小を余儀なくされます。
また、ハードウェア部門などの縮小傾向にある事業部はリストラの対象になってしまうのです。
このようなリストラはNECに限ったことではありません。
売上ピークが過ぎ赤字体質になっている企業であれば誰でも経験する可能性があるのです。
戦略転換によるリストラを避けるには、早い段階で利益率の高い企業に転職することが重要でしょう。
以上、NECはリストラの効果なし?合計3万人の人員削減から学ぶこと「利益率が重要」を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございございました。
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