「中外製薬の早期退職って何が原因なの?」
「過去最高の売上なのにリストラをした理由って何?」
2019年4月に早期退職を募集した中外製薬。45歳以上が対象になったリストラへの希望退職者は172名にもなりました。
中外製薬は過去最高の売上を記録するなど、業績は順調であり、今までの常識で考えればリストラなどは不要な企業のはずです。
それでも早期退職を行った原因は社会構造の変化とデジタル化への対応です。
特に、新薬開発の難易度が上昇したことと、薬価改定により薬の価格が引き下げられることは経営に大打撃を与えることが予想されます。
中外製薬は順調な時に、最悪な状況を考えて対策を講じたということなのです。
今回は中外製薬が早期退職を募集した理由と個人が学べることを解説します。
この記事で学べることは?
- 中外製薬のリストラの詳細が学べる
- 過去最高益なのに中外製薬がリストラを行った理由が学べる
- 中外製薬の早期退職から個人が備えるべきことが学べる
中外製薬も早期退職者を募っていた「172名が早期退職」
2019年4月に中外製薬は早期退職を行ったことを報告しました。
年齢は45歳以上が対象で、希望退職のみを募集。172名の方が早期退職したとのことです。
年齢は45歳以上の人が対象
中外製薬の早期退職制度の対象者は45歳以上の正社員が対象でした。
2019年6月末時点で満45歳以上の中外製薬正社員およびシニア社員※別途定める適用要件を満たす者とする
引用:中外製薬HP
2019年時点の45歳以上と言うと、バブル入社世代で、入社人数も多かった年代ということが予想されます。
また、人件費的に考えても45歳以上は企業の中でも年収が高い人材であり、早期退職の対象となったのでしょう。
募集人員:枠を設けず「172名の方が早期退職した」
中外製薬の早期退職には原則として募集人員に枠がありませんでした。これは希望退職を募るという意図があるため、枠を設けずに幅広く退職者を募るためでしょう。
自由意思に基づく制度のため定めず
引用:中外製薬HP
募集者に枠を設けなかったものの、172名の方が早期退職に応募しています。
中外製薬が早期退職を募集しリストラに取り組んだ理由とは?
中外製薬が早期退職を募集しリストラに取り組んだ理由ですが、新中期経営計画に沿ったものだと言えるでしょう。
下記は、新中期経営計画の5つの戦略です。中外製薬の決算資料から引用しました。
中外製薬のIR資料を分析してみると、売上収益は過去最高益を記録しているのにリストラした原因が、社会の変化や薬価の改定、デジタル化などの影響を受けていることが分かります。
中外製薬が早期退職を募集した理由を分析してみましょう。
売上収益は過去最高を記録
中外製薬は行政が悪化したために早期退職を募集したわけではありません。
下記は中外製薬のアニュアルレポートから2015年以降の収益を引用しました。
2015年から比較しても約1000億円もの売上を伸ばしていることが分かります。
中外製薬は2019年には過去最高の売上収益を上げる予定となっています。
早期退職者を募集は、赤字決算を発表した企業などが行うのが通例です。
しかし、中外製薬は過去最高の売上収益を記録しているので、業績悪化でのリストラではないことがわかります。
事業環境の変化「新薬の開発が難しくなった」
中外製薬のリストラは、業績悪化によるものではありませんでした。
むしろ、業績は絶好調であり、売上高は2015年と比べると1000億円近くも上がる予定です。
では、なぜ早期退職を募集したのかでしょうか?その1つの理由が、新薬の開発難易度が上がるからだと言われています。
当社は2018年12月期に過去最高の売上収益・営業利益を達成したものの、新薬開発の難易度上昇や薬価制度の抜本改革等、事業環境は加速度的に厳しさを増しています。
引用:中外製薬
新薬開発について、下記は、厚生労働省から引用した資料です。
引用:厚生労働省
上記の資料に書いてあるとおり、医薬品の開発の難易度は上がっておりまして、
- 10年以上の期間が必要
- 10年前に比べると成功確率は50%も低下
製薬会社のビジネスモデルは、新薬を開発しないと、新しい売上を作ることができません。
また、特許も20年程度で切れてしまうものなので、新薬を開発し続けないと売上が維持できないのです。
新薬の開発に今以上にコストが掛かるというのは製薬会社にとっては致命的であり、特許切れを見越した構造改革が必要となるのです。
事業環境の変化「薬価引き下げによる売上の低下」
国から保険適用される薬の値段は、薬価が定められます。
薬価とは国により決定される医療用医薬品の公定価格のことであり、製薬会社が自由に定められるものではありません。
そのため、製薬会社は常に薬価改定のリスクを背負っているとも言えます。
中外製薬のリストラでも今後の薬価の改定を見越して早期退職を募集すると書いていました。
その薬価の今後の見通しを見てみると、引き下げられる傾向にあることが分かります。
厚生労働省と財務省が2020年度の予算編成で、薬の公定価格(薬価)の引き下げで500億円以上の国費の削減を見込んでいることが分かった。20年4月は原則2年に1度の薬価の改定時期にあたるが、19年10月の消費増税に伴い臨時で下げることをすでに決めており、半年で2度目の引き下げとなる。社会保障費の抑制に向け、どれだけ財源を捻出できるかが予算編成の焦点となる。
引用:日経新聞
薬価が引き下げられれば引き下げられるだけ、製薬会社の売上は低迷します。
今後は社会保険料の抑制に向けて政府は薬価を引き下げる傾向にあるので、製薬会社もコストカットをする必要があるのです。
デジタル化による競争優位が崩れる
中外製薬は中長期的な戦略として、コスト構造の抜本的な改革を掲げています。
中外製薬のアニュアルレポートを見ると、RPAなどを導入することで合理化していくことを目指していくそうです。
体制の刷新、事業プロセスやコスト構造の抜本的な見直し、RPA活用を含めた合理化などを断行し、機動的なイノベーションへの投資と持続的な利益成長を同時に実現していきます
RPAとはロボティクスプロセスオートメーションの略であり、人間が入力していた手作業を機械で代行するという動きになります。詳しくは下記の記事をどうぞ。
また、専門性や技術での優位制の維持はもはや不可能であると書かれていますが、CEOメッセージでも下記のように説明されていました。
革新的新薬・サービスを連続的に創出するためには、イノベーションに向けた原資を供給し続けられる、
もう一段高い水準の収益性と生産性を手に入れていくことが必要です。
つまり、コストカットをして豊富になった資本はイノベーションの分野に使われていくということなのです。
中外製薬の早期退職募集・リストラから学べること
中外製薬は過去最高収益を記録しており、現状では全く問題が無いのに早期退職を募集しました。
その理由は、事業環境の変化とデジタル化でイノベーションを起こしていくためです。
このような、社会構造の変化に対応するべく構造改革をしていく企業は増加していくでしょう。
損保ジャパンやキリンも将来の社会構造の変化に対応するための早期退職募集を行いました。
いくら会社の収益が良くても、サラリーマンは油断してはいけません。
もしも、将来的な業績が好調でも、政策や社会構造の変化で、悪影響を受けることが予測できるのであれば、別の業界や企業などへの転職を検討しても良いでしょう。
サラリーマンも45歳以上になると早期退職の対象者になるケースが増えてきました。注意が必要ですね。
ちなみに、55歳になると役職定年が始まります。こちらも対策を練っておくのが良いでしょう。
以上、中外製薬の早期退職に172名が応募!リストラの原因は社会の変化?を解説しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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