「富士通で早期退職が募集されている」
「富士通のリストラの原因はなんだろう?」
富士通のリストラの主な原因は、「間接部門の人員が多すぎること」と「売上ピーク後の後処理」です。
通常の企業の最適とされる間接部門の人員は全体の10%と言われています。
しかし、富士通の間接部門の人員は14%であり、2019年現在ではグループ全体で14万人の企業なので、約6000人ほどの余剰人員を抱えています。
2000年から考えると合計で4万人以上削減している富士通ですが、それでも間接部門の人員はまだまだ多いのです。
さらに、1兆円もあった売上は現在では半分となったPC・携帯・モバイル部門の後処理として、事業部の売却や工場の停止なども行われています。
今回は富士通のリストラの歴史と原因について解説します。
この記事で学べることは?
- 富士通が合計8000名以上の人員を削減していくことが学べる
- 富士通のリストラの歴史が学べる
- 富士通のリストラの原因が学べる
目次
富士通のリストらは合計で8000名以上の人員削減となる
富士通のリストラは現在でも進行中です。
2019年3月末までに早期退職2850人
日経新聞によると、富士通は3月末までに多くの人員の削減を予定していると言います。
富士通は19日、早期退職制度により3月末までに2850人を削減すると発表した。間接部門から営業などへの配置転換も進める。米アマゾン・ドット・コムをはじめとするIT(情報技術)大手がクラウド市場で大きなシェアを握るなど、業界が激しく変化するなかで構造改革を急ぐ。
引用:日経新聞
人員削減の方法ですが、
- 早期退職制度で2850人の削減
- 間接部門からの配置転換による削減
以上の方法に人員を削減していくそうです。
2020年までに5000人以上の配置転換に取り組む
別の日の日経新聞によると、5000人以上の間接部門の配置転換をしていくとも書かれています。
2020年度をめどにグループ全体で5000人規模を配置転換する方針を示した。対象は人事や総務、経理などの間接部門で、成長分野であるIT(情報技術)サービス事業に振り向ける。非中核と位置付ける製造分野の切り離しも進め、事業の選択と集中を加速する。
引用:日経新聞
先程の早期退職の人数を含めると約8000名ほどが人員削減されていくことになるでしょう。
富士通のリストラの特徴的な点とは?45歳以上と配置転換?
富士通のリストラの特徴的な点は、
- 45歳以上が早期退職の対象者
- 配置換えによる人員削減
以上の2点になります。
ちなみに、この2点は大手電機メーカーでは導入されている企業も多く、今後多くの日本企業が導入していく可能性があると見ています。
45歳以上が早期退職の退職者であること
富士通のリストラの特徴は早期退職制度を利用できるのが45歳以上である点です。
それまでの早期退職とは50歳以上のイメージが強かったですが、年齢がどんどん引き下げられていき、ついに45歳以上が早期退職の対象となってしまいました。
45歳以上が早期退職の対象の理由は、
- 給料が高い
- 仕事に対するモチベーションが低い
- 将来性が見限られている
といった点が考えられます。
配置換えによる人員削減
さらに、これまでは工場の閉鎖などによる生産拠点を減らすことが主流でしたが、最近は配置換えによる人員削減も目立ってきました。
これは、間接部門である人事や総務といった部分をRPA(ロポティクスプロセスオートメーション)技術などを用いる事により、省人数化できるためです。
2018年の時点で富士通はグループ全体に2万人の間接部門の人員がいるため、配置転換を通して、他のサービスへの転換を意図しているのだとか。
対象となる間接部門にはグループ全体で約2万人の社員がいる。研修を通じて営業やシステムエンジニアなどITサービスに関わる職種への転換を促す。グループ会社の間接機能を富士通本体へ集約することも検討する。
富士通のリストラの歴史:グループ全体で4万人の削減
富士通のリストラについて調べてみたとところ、富士通グループはこれまで全体で4万人以上を削減しています。
営業収益を比較すると、収益は400億円弱の黒字化できていますので、リストラが効果的にできているという味方もできるでしょう。
2000年と2017年の富士通の従業員数は4万人も減っている
富士通のアニュアルレポートである富士通グループ統合レポートによると、2000年と2017年のグループ全体の従業員数を比較すると、富士通はこれまでグループ全体で4万人を削減したことが分かります。
- 2000年は18万8053人
- 2012年は17万3155 万人
- 2017年は14万0365人
「4万人もリストラした!血も涙もない!」と思うかもしれませんが、人員削減はリストラだけではありません。
リストラ以外で企業が取り組める人員削減策は下記のとおりです。
- 事業部の売却
- 生産拠点の売却
- 早期退職
- 採用人数を減らす
- 定年退職
グループ人数4万人も削減している富士通は一般的に見たらかなりの人員削減をしている企業となるでしょう。
しかし、日産のように「リバイバルプラン」や「リカバリープラン」のような構造改革的な取り組みは行われていないようでした。
日産の構造改革的な取り組みは下記の記事をどうぞ。
![](https://studytokyo3.com/wp-content/uploads/2019/05/img_5cdc9987436f6-e1558002602322-160x90.png)
富士通が人員削減した結果:リストラの結果売上の比較
2000年から2017年までにグループ全体で約4万人を削減した富士通ですが、人員削減の結果はどうなっているのでしょうか。
こちらも富士通グループ統合レポートを確認してみたところ、2000年と2018年の売上と営業収益は下記のとおりです。
- 2000年は売上5兆円・営業収益は1497億円
- 2012年は売上4.4兆・営業収益は1053億円
- 2018年は売上4兆円・営業収益は1824億円
売上は1兆円ほど減らしているものの、営業収益が改善していることがわかります。
これは、事業部の売却やコスト削減により、売上の規模は減少したものの、高収益事業のみに特化した結果であり、収益率が改善したのでしょう。
ただし、2001年から2017年の間でも、2000年の営業収益を下回っているものもあります。
2012年にはグループ全体の従業員数が17万人にも増えており、2012年の営業収益は1000億円程度になっています。
富士通がリストラしている理由とは?
それでは、富士通がリストラをして人員削減をしている理由はなんなのでしょうか?
- 間接部門の人員が多すぎる
- 拡大戦略による規模拡大の弊害
このような富士通がリストラをしている理由は、ほとんどの日本企業に当てはまります。
間接部門の人員が多い「7人に1人が間接部門」
富士通のリストラのニュースに「配置転換」という言葉が多くでてきています。
「間接部門の人間を配置転換する」というのが富士通の人員削減戦略のうちの1つになっています。
富士通の間接部門の人員は2018年だけでもグループ全体で2万人います。2018年の富士通グループ全体の従業員数が約14万人ですから、約14%が間接部門と言われるのです。
約7人に1人が収益を上げない間接部門の人間なのです
もちろん、経理・人事・総務は大切ですし、間接部門がいないと会社が回りません。しかし、間接部門の人員が多すぎれば人件費対比の間接部門自体の生産性が下がります。
肥大化した間接部門の人件費が企業の収益を圧迫する結果になります。
一般的に間接部門の人員の割合の最適値は10%と言われており、それ以上の間接部門の人員は多いとされています。
つまり、14万人の企業であれば、1万4000人程度の間接部門の人員が最適です。6000名程度の間接部門の人員が余剰だと言うことになります。そのため、人員削減として配置転換が必要になってくるのです。
拡大戦略による規模拡大の弊害
売上が伸びている時は、規模を拡大して売上をどんどん伸ばそうとします。
富士通のIR資料室の中にある資料を見ていると、拡大路線とその後の動きがわかります。
1996年〜2000年の富士通の売上の構成は下記の通りになっています。
1996年の富士通の売上は3兆7000億円でした。そこから4年で約1.5倍の5兆2000億円まで引き上げます。
本業の通信の売上・情報処理も堅調に推移し、通信部門が売上の伸びを後押しすることで5兆2000億円まで達成することができたのです。
しかし、2012年の決算短信を見ていると売上がピークを過ぎて縮小傾向にあることがわかります。
項目の名前が変更になっているため、一概に比較することができませんが、全体で言えば年間の売上が4兆3000億円に落ちていることがわかります。
ちなみに、各項目ごとの売上の内訳は下記のとおりです
上記を見る限りわかりやすくすると、
- テクノロジーソリューション:サービス・インフラ・ネットワーク
- ユビキタスソリューション:PC・携帯・モバイル
- デバイスソリューション:PC部品
ということでしょう。
また、2018年の富士通の売上の構成は下記のとおりです
テクノロジーソリューション部門の売上が上がっていることがわかります。
しかし、PC・携帯。モバイル部門であるユビキタステクノロジーは半分にまで落ち込みます。約5000億円の売上が減っているということです。
そして、デバイスソリューションは若干減少しています。
このように、2000年まで売上の拡大を後押しした事業を拡大した結果、規模の割に収益が半分にまで下がっています。そのこともあり、大規模リストラをして組織を縮小しているのです。
富士通のリストラの原因は多くの企業にも当てはまる?
富士通の大規模リストラの原因は
- 間接部門の人員が多すぎる
- 拡大戦略による規模拡大の弊害
ということがわかります。
リストラするのが普通のような風土があれば、売上のために規模を拡大したとしてもすぐに縮小できます。
しかし、日本にはリストラする風土はなく、基本的に終身雇用制度に基づいた就業形態です。
売上が下がっても組織の大きさは変わらずに、負債となり赤字を垂れ流すまで維持されます。
そして、赤字を垂れ流し始めたら、大規模なリストラが引き起こされる可能性があるのです。
以上、富士通のリストラは合計8000名!売上ピーク後の人員削減の原因
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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