「働き方の未来って何だろう?」
「これからどういう働き方に変わっていくんだろうな」
少し前のレポートですが、厚生労働省が2016年に働き方の未来2035というレポートを提出しております。
長寿化・技術革新などの影響により働き方の未来は変わっていきます。
今回は、働き方の未来2035を元にして、働き方がどのように変わっていくのかを解説したいと思います。
この記事で学べること
- これからの生涯学習の理想的なあり方が学べる
- 働き方の未来がどのように変わっていくのかが学べる
- 技術がどのような影響を与えるのかを学べる
目次
2035年の働き方の未来では生涯学習が必要性が高まる
生涯教育とは、人が生涯にわたり学び・学習の活動を続けていくことです。生涯学習とも言われているそうです。
日本の成人の「生涯学習」率は先進国で最低とも言われています。
下記の図をご覧ください。日本の成人30歳以上の通学率は1.6%と先進国の中でもっとも最低であることがわかります。
先ほどの働き方の未来2035の中では、これからは生涯学習の必要性が高まるとし、下記のことが述べられておりました。
働き方や企業組織のあり方が大きく変わっていく中では、働き方の変化に合わせた教育システムのあり方を再検討していく必要がある。
それでは、働き方の変化に合わせたこれから求められる教育システムとはどのようなシステムなのでしょうか?
自立するための教育―好きで得意な道選び
今までは、答えがあるという前提の生き方であり、良い学校→良い会社→良い人生というレールの上の生活だった考え方が、これからは変化していくことになりそうです。
世の中で「働くこと」「生きていくこと」の様々な選択肢が存在することや、その現実を理解させ、その選択肢にアプローチするための実践的、職業的な専門性を磨くことに、より重きが置かれるようにすべきである。
つまり、選択肢が多様に存在すること。選択肢を選ぶために必要な知識やスキルを学ぶことを重視するべきだとしているのです。
【良い学校→良い会社→良い人生は終了】変身資産が必要な理由3選でも記載しましたが、今までのようなレールの上に従うという生き方ではいけないということを、厚生労働省のレポートでも言っていることを考えますと感慨深いですね。
生涯やり直しができるための教育
健康寿命の伸びや、企業がプロジェクト型の組織に変わるということを考えると、多岐にわたり様々な知識やスキルに精通しておく必要が出て行きます。
そのためには、一つの企業に留まるのではなく、二つ目・三つ目とステージを変更していく方達に向けての、やり直しができる教育というものが必要になってくるとのことです。
健康寿命が延びていくと期待される中では、一つの企業に一生留まる人は、少なくなると考えられ、キャリアアップ、キャリアチェンジのための充実した職業教育が、個人の側からも一層求められることになる。
このレポートの中では、国が財政的に支援することが必要だと述べられていました。
しかし、国だけが財政的に支援することには限界があるでしょう。
つまり、個人個人が自ら勉強できるような場に出向くということが必要になるのかもしれません。
多様な人材に合わせた教育
世界がグローバルになるにつれて、日本でも日本人以外の人材が働くようになります。
同様に日本から海外に出て行き、グローバルに活躍していく人材も増えていくことが予想されます。
グローバルに働く環境が当たり前になる中では、どんな国籍の人材であっても、日本語や日本社会に対する理解だけではなく、海外の言語や海外の文化に対する理解が、今後一層重要になってくるだろう
このように、多様な人材とコミュニケーションできるスキルや、文化的・社会的な背景を知っておくべきことが今後重要になるのでしょう。
国の教育が変わるのは先の話、自分で対応することが大切
生涯教育の重要性が増していることは、今までのお話で分かっていただけたかと存じます。
しかしながら、教育制度や、国として生涯教育のあり方が変わるのは、まだまだ先のことになるかもしれません。
制度を作るとなると、そこにはお金がかかります。
現在の国家予算において、生涯教育へお金を出せるような財源があるかと言えば疑問符がついてしまうでしょう。
2035年には教育制度が整うかもしれませんが、現状では、個人一人一人が生涯教育のあり方を考えて、行動していくしかないのでしょう。
2035年の働き方の未来では正社員という働き方が変わる?
働き方が変化することにより、教育を変更する必要があると言われていました。
それでは、これから、どのような働き方が主流になっていくのでしょうか?
働き方の変化「時間や空間に縛られない働き方」
レポートの中ではこのように書いてあります
今や情報技術が大きく進展し、異なる空間にいても、ネットを通じて コミュニケーションをすることができるし、共同作業をすることが可能である
インターネットやスマートフォンの進化により、昔は一緒の空間にいないとできなかったものが、今では一緒の空間になくても共同作業行ったりおこなったり進捗を管理したりできます。
実際にいくつかの企業ではリモートワークを推進したり、デスクが決まっていなかったり、完全フレックスのところができています。
徐々に時間や空間に縛られない働き方になっているのです。
より充実感がもてる働き方に
技術革新や長寿化の影響により「働く」という定義が変わると言われています
自立した個人が自律的に多様なスタイルで「働く」ことが求められる。つまり、「働く」ことの定義、意義が大きく変わる。そのためには、必要な能力開発や教育が、どの世代に対しても十分に行われ、社会貢献も含め、多様な自己実現の場が提供されているべきだ。
最近ベーシックインカムについて語れることが多いですが、これも働くということの意味を変えるひとつの要因かもしれません。
いずれにせよ、多様なスタイルで働くことが求められ社会が来るということは、能力開発や教育が必要になってくるのかもしれません。
自由な働き方の増加が企業組織も変える
2035年の企業においては、多くの働くスタイルが求められます。正社員というスタイルがなくなってしまうのかもしれません
2035年の企業は、極端にいえば、ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となり、多くの人は、プロジェクト期間内はその企業に所属するが、プロジェクトが終了するとともに、別の企業に所属するという形で、人が事業内容の変化に合わせて、柔軟に企業の内外を移動する形になっていく。その結果、企業組織の内と外との垣根は曖昧になり、企業組織が人を抱え込む「正社員」のようなスタイルは変化を迫られる。
プロジェクトごとに働く人が異なるという働き方は、アメリカのハリウッドなどで、よく見られる方式です。
カメラはこの人、監督はこの人、では俳優はこの人、といったように、異なるコミュニティの人たちが、映画やドラマのために集まり、それが終わると解散していくという手法に似ています。
サラリーマンも正社員という働き方ではなく、個人がブランドを確立することが求められる時代になるでしょう。
ブランドを確立するのであれば、資格が一番簡単ですね。副業にも使える資格は下記にまとめていますので、よろしければどうぞ。
働く人が働くスタイルを選択する
また、プロジェクト単位の働き方になることにより、個人事業主と従業員の違いが不明確になると書かれています。
個人事業主と従業員との境がますます曖昧になっていく。組織に所属することの意味が今とは変わり、複数の組織に多層的に所属することも出てくる
プロジェクト単位の働き方になることで、必要な人材集めるためには、正社員でも派遣でも個人事業主でもなんでもよくなってくるということだと思います。
多様な働き方が認められる時代だからこそ、働く人が働くスタイルを選択することができるようになるのです。
働く人と企業の関係は兼業や副業が当たり前になる
プロジェクト単位での仕事が中心になることで、プロジェクトを平行に進めたり、どのくらいの時間や期間を働くのかということを、自分で選択することができるようになります。
その結果、兼業や副業が当たり前になりますし、就職についても下記のような変化が予想されます
当然、今とは違って、人は、一つの企業に「就社」するという意識は希薄になる。専門的な能力を身に着けて、専門的な仕事をするのが通常になるからだ。どのような専門的な能力を身に着けたかで、どのような職業に就くかが決まるという、文字通りの意味での「就職」が実現する。
これからは、企業=仕事=就社ではなく、能力=仕事=就業という考え方になります。
安定を求めるために、企業が大企業であるからとかそういったものは今後関係なくなります。
個人がどのような専門的な能力を持っているか否かが、安定に繋がるものだと言えるかもしれません
働き方が変化する時代に対応するために、副業OKとする働き方改革の推進が加速しています。
働き方の未来ではコミュニティのあり方が変わる「企業→??」
このように個人の働き方が変わっていくことによって、コミュニティのあり方も変わっていきます。
自立した個人が多様な価値観をもって自由に働く社会では、働く人の企業への帰属意識は薄れ、疑似コミュニティとして機能することは難しくなっていく。これまで企業が担ってきたコミュニティの役割を、代替するものが生まれてくるに違いない。
昔は、大企業には働くための場所というよりはむしろ、家族的な側面も強く、国家やコミュニティとしての側面が強くありました。
これからは、プロジェクト単位で仕事が中心になっていくことを考えると、会社に対する帰属意識が失せるため、コミュニティとしての価値が無くなります。
だからこそ、SNSや技術者同士などのコミュニティが、以前の会社組織を代替して出来上がっていくのかもしれません。
世界と直接つながる地方の新しい姿が必要
技術革新の影響は、働くコミュニティーのあり方を変えるだけでなく、働いている場所による格差を埋める効果もあります。
IT の進展によって、働く場所の制約がなくなると、地方において、豊かな自然を満喫しながら、都市に住むのと同じようにクリエイティブな仕事ができるようになっているだろう。
昔は、働いてる場所によって情報格差があり、地方で働いている場合には最新情報など取り用がありませんでした。
今は、技術革新により、誰でもすぐに最新の情報にアクセスすることが出来ます。その結果、意識があって、情報を取りたい人であれば、誰でも最新情報を得ることが出来るのです。
介護や子育てが制約にならない社会にする必要がある
少子高齢化の影響により無視できないのが、介護問題です。また、共働き世代の増加により無視出来ない問題となっているのか子育ての制約です。
しかしながら、2035年には介護や子育てが制約にならない社会がくるとも言われてます。
AI など科学技術の発達による自動化・ロボット化によって、介護や子育て、家事などの負担から働く人が解放されていることが期待される。介護や子育て、家事などのアウトソーシングを可能にする多様な高品質のサービス・ビジネスが広がり、介護や子育てが働くことの制約にならない社会になっていることが重要である。
自動化やロボットが上手く組み合わされて、働く人の制約から解放されれば嬉しいことですね。
また働くスタイルの変化や働く場所の変化により、自分の生活にあったスタイルに変えることが出来るようになるのかもしれません。
性別、人種、国籍、年齢、LGBT、障がい、すべての「壁」を超える
これはあくまで日本の目指すべき姿としての話ですが、日本は世界でもっとも働きやすい場所を目指している国になるそうです。
そのため、外国の方が働きやすくなるような法整備を行ったり、技術を活用して、全ての壁を超えるようにするべきということだそうです。
AI の発達によって多言語間のコミュニケーションのハードルが低くなれば、仕事やサービスは簡単に国境を超える。VR 技術であたかも隣でサービスをしているように感じられても、実際にはその人は地球の裏側にいて母語が全く異なる人である可能性もある。すでに定型的なオペレーター業務や事務処理業務は国境を越えたネットワークの中で運用されている例が出始めているが、2035 年には、今よりも格段に多くの仕事で、それが普通の事になるに違いない。
多くのが生まれることを考えると、これからは個人として、多様性を受け入れる必要性が出ています。
島国に住んでいるドメスティックな日本人にとって多様性を受け入れるのは非常に大変でしょう。
多様性を受け入れるポイントは「偏見を捨てる」「尊重する」という点です。下記にも多様性を持つ方法を詳しく紹介しています。
2035年の世界は少子高齢化と技術革新により働き方が変わる
2035年は今の働き方と根本的に異なります。
技術革新や少子高齢化の影響により、ひとつの組織で行われていた仕事から、プロジェクトごとに異なる組織から、様々な人が集まるという形になります。
2035年までに、そういう働き方に対応できるようになることが大切なのかもしれません。
このレポートの冒頭に書かれていることに、少子高齢化と技術革新があります。
2035年の少子高齢化について
少子高齢化については下記のように書かれていました。
2035 年、世界の人口は現在の 73億人から 85億人まで増加するのに反して、日本は1.27 億人から 1.12 億人に減少すると予測されている。
他方で長寿化が進むため、少子高齢化がさらに進み、現在の26.7%の高齢化率が 33.4%まで拡大するとも言われている。
日本の人口は、およそ1500万人が減少すると言われています。これは東京都の人口が丸々いなくなるのと匹敵するくらいの人口の減少になります。
2035年の技術革新について
また、技術革新については、下記のように書かれていました。
技術革新の進展を踏まえることは、これまでの変化を考えると未来社会を展望する上で、世界共通の前提である。
技術革新については、情報処理速度、VR・AR・MR、AI、移動技術、センサーについて言及されております。こういったものが人々の仕事のあり方を変化させて行くということです。
技術革新を見ることが出来なければ時代の流れを見ることができず、未来社会を展望することもできません。それだけ今後の技術革新という部分は、非常に重要な要素が見ることができます。
技術革新によって重要になる仕事とは?
技術革新に動けるようになる仕事の1つとして、ヒューマンタッチの仕事が挙げられています。
1 つは「ヒューマンタッチ」の仕事である。人間は人間がサービスしてくれることに対して大きな満足を得る。
例えば、高級ホテルのボーイさんや、三つ星ホテルのウェイターさんなんかは、配膳を期待しているというよりは、ホスピタリティーを期待している部分が強いので、こういったものはなくならないでしょう。
更に、もう一つ重要な仕事として起業家があげられています。
もうひとつは起業家である。AI やロボットにより中間的な仕事が代替され得るということは、逆に言えば企業の経営や企画にかかわるような仕事を人間がやる必要が高まるということである。その点では、起業は重要な人間の仕事の一つだろう。
起業家は経営や企画に関わるような仕事であるので、なくなる可能性が低いということです。
つまり、AIやロボットなどを活用しながら、仕組みづくりができる人間が重要視されていくということになります。
AIや人工知能により仕事がなくなっていく流れは、いきなり無くなるのではなく徐々になくなっていきます。気付いた時には手遅れ…にならないように、舵取りをする必要があるでしょう。
2035年まで後15年…働き方が変わる未来に個人ができる対策は?
あと20年と聞くと、すごく先の未来のように聞こえます。
今20代の人は、40代になっています。40代とは働き盛りの年齢です。
この時に、少子高齢化による影響により衰退産業となるような仕事をしている場合、未来の設計を狂わせかねません。
少子高齢化でも儲かる仕事は存在します。そういった方向に舵取りをするのも良いかもしれませんね。
また、技術革新により自分の職業自体がなくなる可能性があります。
しかし、40代から次のキャリアを考えるのは相当難しいことでしょう。
あと20年というものを甘く見ないで、将来について考える事は大切なのかもしれません。
次の20年の生き方を考える上で必要なことは年収を上げ、自分のブランド力を高めることです。
下記にはサラリーマンが経済的に余裕を持つ方法をまとめています。
経済的に余裕を持つために、転職をしたり、資格を取得したり、副業することは結果的にあなたのブランド力を高めることにも繋がるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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