日銀ETF買い入れの目的とは?投資初心者が知るべき日銀ETF買い入れの意味

日銀ETF買い入れの目的とは?投資初心者が知るべき日銀ETF買い入れの意味

「日銀ETF買い入れってどういう意味?」

「日銀ETF買い入れの影響ってどういう物があるの?」

投資初心者が投資で利益を得ようと思ったときに忘れてはいけないのは国の政策です。

特にインデックス投資家のような長期的な運用をしていくのであれば、国の政策の動向を知っておくと、長期的に利益を得る投資が行える可能性が高くなります。

例えば、日本の場合であれば、日銀のETF買い入れや年金ファンドであるGPIFがどのような投資をしているのかを知っておくのは、長期的なトレンドを掴む上で必要なことなのです。

インデックス投資家は長期保有という、精神的に擦り減りそうなイバラの道を進んでいく人々です。

もしも、日本の政策である日銀のETF買い入れや年金ファンドの投資先を知らなければ、長期的に保有する際の安心感を得ることが出来ず、途中で売却する可能性もあるでしょう。

今回は、投資初心者に知ってほしい日銀ETF買い入れの意味と影響についてまとめました。

この記事で学べることは?

  • 日銀ETF買い入れの理由が学べる
  • 日銀ETF買い入れの投資先が学べる
  • 日銀ETF買い入れの影響が学べる
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日銀ETF買い入れは「物価の安定」が目的だった

日銀がETF買い入れしているという記事をよく見かけますよね。

簡単に言えば日銀が間接的に株を購入しているわけなんですが、どうして日銀が企業の株を購入するのでしょうか?

日銀買い入れの目的は物価の安定

日銀ETF買い入れは、「量的・質的金融緩和の導入」という理由から行われています。

わかりにくいですので、簡単に言うと、日銀のETF買い入れは「物価の安定」のためです。

日本銀行のHPを見てみると、日銀が現在何を目的にして動いているのかがわかります。

日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するという約束をしています。

引用:金融政策

現在日銀が目的にしているのが「物価の前年比上昇率2%」です。

この目的達成のために、資産の買い入れが行われています。

  • 長期国債
  • ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、 年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
  • CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。

引用:金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

金融資産を買い入れるのは市場にお金の流通量を増やすため

なぜ、金融資産の買い入れをするのかといえば、お金を市場にばらまくためです。

金融資産が購入されると、その分だけお金が市場に流通されます。お金の流通量が増えれば、お金を持っている人が増えることになります。

そうなると、

「あれ?この値段だとすごく売れるな…。じゃあ値段上げたれ」と値段を上げるようになりますよね。

このメカニズムが働けば、相対的に物の値段が上がります。そうすれば、前年比2%増加のインフレが実現するのです。

つまり、「2%のインフレを実現するために資産を購入しているが、そのうちの1つがETFである」ということなのです。

日銀ETF買い入れでは、日本の幅広い会社に投資をしている

日銀がETFを購入しているのは金融政策の一つであることがわかりました。

それでは、日銀が実際に購入しているETFとは何なのでしょうか?

結論から言えば「日本全体の指数に連動するETF」です。

もっと、わかりやすく言えば、日本の会社に幅広く投資をしています。

日銀の投資対象はTOPIX・日経225・JPX日経400

2018年7月には、今後の ETF の買入れの運営についてという書類で下記のように紹介されていました。

用語の説明は下記のとおりです。

  • TOPIX(東証株価指数):東京証券取引所第一部に上場している、内国普通株式全銘柄。
  • 日経225:東証第一部上場銘柄のうち取引が活発で流動性の高い225銘柄。
  • JPX日経400:東証の市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQを主市場とする普通株式

つまり、幅広く上場している日本企業に日銀は投資をしているのです。

日銀ETF買い入れで引き起こされる影響とは?

日銀のETF購入で株価が上がる?

日銀がETFを購入すれば株価が上がると言われています。

なぜなら、日銀が物価の2%が達成できない限り、ETFを買い入れし続けるでしょう。

必ず買う人がいるとわかったら、値上がりする可能性は高くなりますよね。

それがわかっている投資家たちは、日銀のETF買い入れを期待して、将来的に高くなるであろう可能性に期待して投資をするのです。

さらに、必ず買い続ける人がいれば、株価が下がったりすることもありません。

つまり、株価は安定して上がり続ける可能性が高いと言えるのです。

日銀が今までに購入した金額は22.7兆円ほど

参考までに日銀のETF買い入れの年度ごとの買い入れ額をグラフにまとめてみました。

日銀ETF買い入れ合計額

日銀は売却はせずに、購入だけで6兆円になっています。買い越し6兆円は東証の取引の中でも突出した数字です。

ちなみに、ETFの購入と日経平均225を合わせと連動して右肩上がりになっているのがわかります。

ちょうど、2013年以降のタイミングは、金融的に大きく変わったタイミングでも有り、

  • 日銀ETF買い入れの本格化
  • GPIFの投資比率で株式比率が大幅に増えた

ということもあり、日経平均株価と連動して右肩上がりになているのがわかります。

日銀のETF買い入れで含み益を得ている企業は多数ある

日経平均は2013年の1万円代から2万代に大きく上昇したことにより、含み益も増えています。

生命保険会社・資産運用会社は赤字を取り戻した

リーマンショック前に購入していた株などの資産はほとんどが赤字になっていましたが、日銀ETF買い入れやGPIFの株式投資の効果により含み益に変わった企業も多いでしょう。

事実、生命保険会社は保険で集めた資金を運用して利益を出しているビジネスモデルですが、2013年以降のアベノミクスによりリーマンショックの時の赤字を取り戻したとも言われています。

他にも資産運用会社の成績を見てみると、現在は黒字転換しているところも多いことがわかります。

GPIFも日銀も自分で購入したETFで含み益を得る

GPIFの場合は、GPIF自体が株式投資をすると言ったことで、株式市場が右肩上がりに変わるくらいの影響があります。さらに、日銀のETF購入も重なれば株式市場が右肩上がりになるのも疑問はないでしょう。

GPIFは日本の年金を運用している年金ファンドです。詳しくは下記の記事をどうぞ。

【GPIFのポートフォリオ】各国年金ファンドと比較してみると…
年金ファンドのポートフォリオ?世界各国の年金ファンドとGPIFのポートフォリオを比べると株式比率の少なさが際立つ。 世界各国の年金ファンドを参考にして分かる、個人のポートフォリオを組むヒントとは?

日銀ETFは、2018年11月の段階では含み益も7兆円も出ています。22兆円で投資していると考えると30%程度も含み益が出ているんですね。

保有する指数連動型投資信託(ETF)の含み益は9月末時点で7兆2045億円と、前年度末(5兆1460億円)から増加し、過去最高を更新した。

引用:日銀:保有ETFの含み益は過去最高7兆2045億円-上期決算

日銀は日本国内のETFの10%を購入している

2018年の内国ETF売買代金は56兆2,452億円と言われています。

つまり、日銀のETF購入は全体のETF購入の10%にも達していることになります。

物価の上昇はどうなった?

一方で、日銀のETF買い入れの目的である、消費者物価指数の上昇はどうなっているのでしょうか?

日本のインフレ率のグラフは下記になります。

見ていただければ分かる通り、日銀がETFを購入してもインフレ率は0%を平均して推移しているという結果に。

賃金の上昇がなければ、物価の上昇ははっきり言って、難しいでしょう。

日銀がETFを購入する→株価が上がる→企業の資産価値が増える→企業の投資が活発化する→給料が増える→物価が増える

このような循環をしていかなければ、物価の上昇って難しいんじゃないかなと思っています。

インフレのリスクとは?物価上昇で貯金の価値が半分に減少する?
投資は損するから怖いと思っても、貯金をしてもインフレで資産価値が目減りします。実際に30年間インフレ率3%が続くと資産価値が50%下落します。インフレのリスクを回避する方法とは?

日銀のETF買い入れ=株価は安定ではない

日銀がETFを買い入れているから株価が安定すると思うのは短絡的です。

長期的見れば日銀ETF買い入れによって安定するかもしれませんが、短期的に見れば変動してしまいます。

日銀の買い越し額は東証の中で突出している

東証のデータによると、日銀の買い越し額ははっきり言って突出しています。

2018年は日銀が6兆円を投資しましたが、他の組織では、最大でも2兆円程度の買い越し額でした。

買い越しは事業法人の2兆3014億円、信託銀行9089億円、投資信託8959億円にとどまり、日銀の購入額は突出している。

引用:日銀ETF購入、今年6兆円超で記録を更新-「日銀頼み」日本株

買い越し額が多いから株価が安定するのかといえば、長期的に見ればそうですが、短期的に見ればそんなことありません。

長期的に見たら安定・短期的には違う?

長期的に見たら、確かに右肩上がりで上がっていく可能性が高いでしょう。

なぜなら、最終的に日銀が大量に買い越すことを知っている投資かたちは、値上がりを期待して購入するからです。

株価が右肩上がりになっていく理由は、「日銀ETF買い入れへの期待」なんですね。

ただし、短期的に見たらかなり日経平均はかなり下げている場面もあります。これは主に外国人投資家たちのリスクに対する反応でリスク回避傾向が強まったことが言えるからです。

現在の東証一部の30%は外国人投資家に買われている株式になります。

引用:2017年度株式分布状況調査の調査結果について

そのため、外国人投資家達が世界の景気動向を見て、リスクが高いと感じてきたら、日経平均株価に投資をしている部分を引き上げて、国債に買い替えたり、流動性の高い資産に変更したりします。

いくら日銀がETFを大量に購入していても、外国人投資家達が資金を引き上げてしまった場合、短期的に下がるのです。

しかし、短期的に株価を下げたとしても日銀が安定してETFを購入していることは事実なので、再び日経平均株価に投資をする人も増えてくるでしょう。

このような上下の値動きのサイクルのため、日銀がETFを購入していても長期的には安定するが、短期的には安定しないということなのです。

日銀のETF買い入れの意味をまとめよう

日銀のETF買い入れの意味は下記の通りです

  • 日銀がETFを購入するのは物価の安定のため
  • 日銀は幅広い日本市場全体に投資をしている
  • 日銀がETFを購入すると株式市場が右肩上がりになる可能性が高い
  • 日銀のETF購入とGPIFの日本株購入により含み益を得た企業は多数
  • 日銀の目的であるインフレ率は上がっていない
  • 日銀の東証での買い越し額は突出している

以上、日銀のETF買い入れの目的とは?投資初心者が知るべき日銀ETF買い入れの意味を解説しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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